2007 Fiscal Year Annual Research Report
付着細菌における抗菌薬抵抗性とストレス応答の分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
17591914
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小野 恒子 The University of Tokushima, 医学部, 教授 (40035514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 洋一郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80136093)
安孫子 宜光 日本大学, 歯学部, 教授 (70050086)
樋口 富彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50035557)
鹿山 鎮男 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50432761)
|
Keywords | 付着 / 緑膿菌 / quorum sensing / 遺伝子発現 / 抗菌薬抵抗性 |
Research Abstract |
本年度はストレス応答系と抗菌薬抵抗性に関与する遺伝子群のネットワーク解析を目的として、las、rhlおよびpqs系変異株を用いて、付着による遺伝子発現機構について検討し、以下の成果を得た。 1.これまでにlasR、およびlasI遺伝子がofloxacin抵抗性に関与していることを明らかにしてきたが、さらに、これらの遺伝子が付着細菌のbiapenem抵抗性に関与しているか否かについて、上記変異株を用いて付着時のbiapnemのMICおよびMBCを測定し、検討した。その結果、lasR、lasI遺伝子とrhlRはいずれも付着時のbiapenem抵抗性に寄与していることが判明した。しかし、PQS系quorum sensingの制御遺伝子pgsRはbiapenem抵抗性には関与していないと推察された。 2.quorum sensing系は複雑なネットワークを形成し、各種ストレスに応答し多数の遺伝子発現を制御していることが知られているため、固相表面への付着も一種のストレスとして、これらのlas系、rhl系およびpqs系による遺伝子発現制御がなされているかについて、real-time PCRによってmRNAを定量し、解析を行った。その結果、lasR、lasI、rhlI遺伝子は浮遊菌に比べ10倍以上mRNAの発現が上昇していた。rhlIは約3倍の上昇が認められた、またpgsRおよびpgsAについても高い転写レベルの発現上昇が認められた。 以上より、緑膿菌の固相表面への付着はlas、rhlおよびpqs系いずれのquorum sensing系も誘導していることが判明した。現在las、rhlおよびpqs系の欠失変異株にtac promoter下流に各遺伝子挿入プラスミドを作製し、形質転換株のこれらの遺伝子の強発現誘導による影響について解析中であり、付着による遺伝子発現誘導のtriggerとストレス応答のネットワークと抗菌薬抵抗性獲得機序を明らかにすることができると考えている。このことにより、付着細菌に対するより有効な抗菌薬療法の開発に寄与することが期待される。
|
Research Products
(4 results)