2008 Fiscal Year Annual Research Report
摂食嚥下障害と音声言語障害に対するパラタルリフトによる同時治療法の開発
Project/Area Number |
17592021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘村 卓 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (60188266)
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Keywords | 筋電図 / 口蓋舌筋 / 口蓋帆挙筋 / 至適嚥下量 / 口腔相 / 咽頭相 / 粘性 |
Research Abstract |
健常者での嚥下活動と音声言語活動での鼻咽腔閉鎖機能の調節様相の相違と関係を,口蓋帆挙筋活動を指標にして食物物性の相違と舌-軟口蓋運動を検討した. 19年度に得られたニュートン性を有する水とミルクでの粘性の相違を口腔感覚が検出して,軟口蓋運動が調節されることを基礎にして,20年度には非ニュートン流体を用いて,物性の相違がどのように軟口蓋運動に影響するかを検討した.B型粘度計での粘度の数値が同じであるにもかかわらず,2/sec以上のずり速度では粘度が異なるように調節した3種のトロミ食を用いた.あらかじめ被験者ごとに個人至適嚥下量を調べ,平均至適嚥下量を個人ごとに算出し,それに基づいて各試験食を10回嚥下させた.被験者10人を対象に調べた結果,全員において同量を嚥下しているにもかかわらず,嚥下時の口蓋帆挙筋活動量は,ずり速度依存性粘度の高さの順に少なくなることが示された. 意義と重要性:今回の結果は,非ニュートン流体嚥下時の軟口蓋運動は,口腔に保持した食物のずり速度依存性粘度にもとづいて調節されることを示している.すなわち,食品摂取時の口蓋帆挙筋活動は,B型粘度計での表示では不十分であり,ずり速度依存性粘度での表示が必要であり,誤嚥防止のために用いられるトロミ食品の開発に新たな指標を示した.本結果は,現在のX線ビデオや内視鏡検査における軟口蓋運動の評価基準に新たな見解を投じており,また嚥下リハビリテーションや嚥下食の開発に軟口蓋運動と食物物性の関連性を考慮する必要性を提示している.
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Research Products
(7 results)