2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト顎関節滑膜細胞株を用いたストレスシグナル伝達経路の解析と遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
17592065
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
永井 宏和 秋田大学, 医学部, 講師 (50282190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 秋田大学, 医学部, 教授 (20200214)
福田 雅幸 秋田大学, 医学部, 助教授 (20272049)
大貫 敬嘉 秋田大学, 医学部, 助手 (80375253)
中田 憲 秋田大学, 医学部, 助手 (50400510)
高橋 哲 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60226850)
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Keywords | ヒト顎関節 / 滑膜表層細胞 / メカニカルストレス / 炎症性サイトカイン / 顎関節症 |
Research Abstract |
ヒト顎関節滑膜細胞株の樹立とその特性 インフォームド・コンセントの十分得られた患者から摘出した顎関節滑膜組織から、outgrowth法によりヒト顎関節滑膜細胞株を樹立した。培養滑膜細胞は線維芽細胞様の形態をしており、倍加時間は約40時間であった。培養滑膜細胞は線維芽細胞マーカー(vimentin, prolyl-4-hydroxylase)を発現していたが、T細胞(CD4)、 B細胞(CD19)、血管内皮細胞(CD31,von Willebrand factor)のマーカーは発現しておらず、線維芽細胞様の性質を有しているものと考えられた。また、すべての細胞が滑膜B型細胞のマーカーであるlamininおよびHsp 27の両者を発現しており、この細胞は滑膜B型細胞由来であることが示唆された。しかし、一部の細胞がマクロファージのマーカー(CD68)を共発現しており、A型とB型の中間型の細胞がヒト顎関節滑膜表層に存在していることが示唆された。 ヒト顎関節由来の滑膜細胞のメカニカルストレスに対する細胞応答の解析 過剰な伸展ストレスを加えた滑膜細胞からtotal RNAを回収してRT-PCRに供し、iNOSおよび炎症性サイトカイン(IL-1β、IFN-γ、TNF-α、IL-6、IL-8)の遺伝子発現を調べた。滑膜細胞に伸展ストレスを加えると、iNOS、IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-8の発現が増加した。伸展刺激を加えた時間での遺伝子発現量の検討では、TNF-αは伸展刺激前では検出できなかったが、刺激後早期(30分)にその発現が最大となった。IL-1βは徐々に増加し、12時間で約8倍となった。IL-6、IL-8、iNOSは3時間〜6時間でその発現が最大(iNOS:約5倍、IL-6:約15倍、IL-8:約10倍)となり、その後減少していった。これらの結果から、メカニカルストレスは、滑膜細胞にiNOSおよび炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-8)の遺伝子発現を誘導することが明らかとなった。メカニカルストレスに応答して滑膜細胞から産生されたこれらの炎症性メディエーターが複合的に作用して顎関節症の発症および病態形成に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)