Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 秋田大学, 医学部, 教授 (20200214)
福田 雅幸 秋田大学, 医学部, 助教授 (20272049)
中田 憲 秋田大学, 医学部, 助手 (50400510)
高野 裕史 秋田大学, 医学部, 助手 (30282172)
高橋 哲 九州大学, 歯学部, 教授 (60226850)
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Research Abstract |
われわれは,平成17年度に,ヒト顎関節滑膜細胞株の樹立に成功し,その特性を明らかにした.本年度は,樹立したヒト顎関節滑膜細胞株のメカニカルストレスおよび各種炎症性メディエーターに対する応答について検討した.また,関節修復への滑膜細胞の関与を明らかにするために,骨,軟骨,脂肪への分化能を検討した. ヒト顎関節滑膜細胞のメカニカルストレスに対する応答 ヒト顎関節滑膜細胞にメカニカルストレスを負荷すると,iNOSおよび炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α,IL-6,IL-8)の遺伝子発現が誘導されることが明らかとなり,メカニカルストレスに応答して滑膜細胞から産生されたこれらの炎症性メディエーターが複合的に作用して顎関節症の発症および病態形成に関与している可能性が示唆された. ヒト顎関節滑膜細胞を介した関節破壊に及ぼすTNF-αの影響 ヒト顎関節滑膜細胞はTNF-α刺激により,種々の炎症性メディエーター(IL-1β,IL-6,IL-8,COX-2)やマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1,MMP-13)を産生して,関節破壊に関与している可能性が示唆された.また,TNF-α刺激により,滑膜細胞のRANKLの発現が上昇することから,破骨細胞の分化を制御している可能性が示唆された. ヒト顎関節滑膜細胞の骨軟骨脂肪への分化能 ヒト顎関節滑膜細胞を骨,軟骨,脂肪への分化誘導培地で培養すると,それぞれ骨基質の産生,軟骨基質の産生,脂肪顆粒が確認され,さらに,各分化マーカーの発現が上昇したことから,ヒト顎関節滑膜には骨,軟骨,脂肪への多分化能を有する幹細胞が存在し,滑膜細胞が破壊された関節組織の修復に関与している可能性が示唆された.
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