2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯の発生・分化におけるIKK-γによる転写制御ネットワークの解析
Project/Area Number |
17592125
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊入 崇 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (10322819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (30230816)
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Keywords | 歯学 / 発生・分化 / 遺伝子 / ゲノム |
Research Abstract |
歯の発生と組織分化は、さまざまなサイトカインや形態形成遺伝子発現など複雑なシグナルネットワークが存在していることが明らかになっている。しかし、その全てのメカニズムの詳細が明らかになっている訳ではない。本研究では、IKK-γが歯の形成のメカニズムにどのように関与しているのかを明らかにするために、実験を行い以下の結果を得た。IKK-γは、歯胚初期において歯胚上皮に強く発現しており、IKK-γのsiRNAによる機能障害によって歯胚の成長のみならず下顎骨の成長も抑制された。IKK-γは、歯胚誘導初期の反応遺伝子であることを示した。このことからIKK-γが転写抑制因子として下流の様々な遺伝子を制御し歯の発生に重要な働きをしていることが示唆された。実際、siRNAによりIKK-γの発現を抑制することで、歯胚の発生の抑制のみならず、顎骨の発育も抑制されることは新しい発見である。色素失調症の臨床所見においても顎骨の劣成長がみられることは本実験結果を裏付けるものであった。以上の結果から、骨の成長にはIKK-γの発現が必須であるか、もしくは顎骨内に歯胚の存在がすることが正常な顎骨の成長には必要であるのか、二つの可能性が示唆され、今後詳細な検討が必要と思われた。また、転写調節領域を含む遺伝子断片のクローニングを行い、クローニングした上流配列にプロモーター活性を示す部位が存在するか検証したところ、転写因子NF-kBの発現が増強していることが確認された。NF-kBは、細胞死抑制に関与する遺伝子群や、炎症性サイトカイン遺伝子群の転写を誘導する主要な制御因子である。今後、NF-kBの活性化のシグナル伝達についても詳細に検討する必要性があることが示唆された。
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