2005 Fiscal Year Annual Research Report
離島在住高齢者のサポートシステムへの介護保険の影響に関する研究
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17592208
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
濱野 香苗 長崎大学, 医学部, 教授 (60274586)
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Keywords | 離島 / 高齢者 / サポートシステム / 介護保険 |
Research Abstract |
地域を基盤としたサポートシステムを大切にしながら介護保険の効率的な活用方法を模索するために、平成17年6月〜11月に、調査に同意の得られた佐賀県の離島在住の65歳以上の全高齢者120名を対象に、身体面、精神面、社会面、霊的面から作成した半構成的質問紙を用いて面接調査を行った。対象者の性別は、男性50名、女性70名、年齢は65〜97歳、平均年齢76.3歳であった。家族構成は配偶者と二人暮らし37名、配偶者と子供家族と同居30名、子供家族と同居27名、独居21名等であった。 身体面では、主観的健康度は大変良い13名、良い40名、普通29名、悪い36名、大変悪い2名であり、Barthel Indexは100点が93名、95点が13名、90点以下は12名であった。精神面では、孤独感は16点満点で孤独感なし81名、普通27名、やや孤独感あり8名、強い孤独感あり4名であった。いきがいや楽しみは友人との会話26名、子供や孫との交流12名、魚つり11名等であった。社会面では、老研式活動能力指標は0〜4点15名、5〜9点28名、10点以上77名であった。社会関連項目の生活の主体性は1〜4点で平均3.2点、社会への関心は0〜5点で平均1.6点、他者との関わりは0〜3点で平均2.7点、身近な社会参加は0〜4点で平均3.2点、生活の安心感は0〜2点で平均1.9点であった。霊的面では、宗教は仏教58名、カトリック61名、神道1名であり、心の支えありは65名、なしは54名、わからない1名であった。 生活満足度は9点満点で低い満足39名、中程度の満足62名、高い満足19名であった。サポートシステムは心理的サポートは15点満点で低い6名、中程度18名、高い96名であり、手段的サポートは18点満点で低い1名、中程度18名、高い101名であった。野菜や魚をあげたりもらったりすることは日常的に行われていた。介護保険に対する認識は介護保険を知っている118名、知らない2名であった。介護保険導入に伴う生活の変化は、ある45名、ない75名であり、変化の内容は保険料を引かれている24名、サービスを受けている13培、高齢者センターでボランティアをしている9名であり、基本的なサポートシステムの変化はみられなかった。在宅サービスの受給状況はデイサービス・入浴10名、配食サービス6名、福祉用品の貸与5名、ヘルパー3名、住宅改修2名、病院への送迎1名であった。 離島在住高齢者の生活満足度、心理的サポート、手段的サポートは11年度の調査と変わらない状態であった。島では日常的に助け合う習慣が維持されており、高齢者のサポートシステムが介護保険導入によって大幅に変わることはなかったが、生活の変化としては介護保険料を引かれることによる経済への影響があること、高齢者センターの建設によりサービスが受けやすくなったことが明らかになった。
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