2006 Fiscal Year Annual Research Report
離島在住高齢者のサポートシステムへの介護保険の影響に関する研究
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17592208
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
濱野 香苗 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (60274586)
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Keywords | 離島 / 第2号被保険者 / サポートシステム / 介護保険 |
Research Abstract |
地域を基盤としたサポートシステムを大切にしながら介護保険の効果的な活用方法を模索するために、平成18年6月〜12月に、調査に同意の得られた佐賀県の離島在住の介護保険2号被保険者104名を対象に、身体面、精神面、社会面、霊的面から作成した半構成的質問紙を用いて面接調査を行った。対象者の性別は男性51名、女性53名、年齢は40歳から64歳、平均年齢53.1歳であった。家族構成は、親と同居54名、配偶者と2人暮らし21名、配偶者と子供と同居21名、子供と同居4名、独居4名であった。 身体面では、主観的健康度は大変良い12名、良い15名、普通56名、悪い18名、大変悪い3名であり、Barthel Indexは100点が102名であった。過去5年間に大きな病気をしたのは33名であり、主に手術で、血圧等で島の診療所に受診をしている人が多かった。精神面では、他者依存度は情緒的依頼心は24点満点で6〜19点平均8.7点、社会的自信の欠如は36点満点で8〜28点平均14.6点、自律の主張では32点満点で8〜22点平均11.2点であった。孤独感は16点満点で4〜12点、平均7.5点であった。いきがいや楽しみは友人との会話や酒を飲むこと22名、子供の成長20名、孫に会うこと11名等であった。社会面では、社会関連項目の生活の主体性は1〜4点で平均2.9点、社会への関心は0〜5点で平均2.8点、他者との関わりは1〜3点で平均2.9点、身近な社会参加は2〜4点で平均3.5点、生活の安心感は1〜2点で平均1.9点であった。霊的面では、宗教は仏教52名、カトリック51名、なし1名であり、心の支えや拠り所がありは70名で、なしは34名、その内容は家族37名、信仰30名、友達9名等であった。 生活満足度は9点満点で6〜8点、平均4.3点であった。サポートシステムは心理的サポートは15点満点で3〜15点平均13.8点、手段的サポートは18点満点で5〜18点平均15.6点であり、高いサポート状況が見られた。日常的な助け合いは、冠婚葬祭以外にも魚や野菜のやりとりが行われていた。介護保険に関しては、言葉は全員知っていたが、中身は知らない73名、少し知っている22名であった。介護保険導入に伴う生活の変化はあり20名、なし84名で、影響は保険料が負担である13名、サービスを受けて便利9名であり、基本的なサポートシステムの変化はみられなかった。介護保険に対する意見は年とって病気になれば必要やあった方が良い53名、跡取りがいて介護するので島では必要ない20名、保険料が負担15名等であった。自分の介護に対する希望は、子供に家で46名、施設に入る18名、考えていない16名等であった。自分が介護を受ける時には介護保険を利用すると78名が答えた。 介護保険第2号被保険者の心理的サポートや手段的サポートは高く維持されており、介護保険導入による影響は保険料差し引きによる負担やサービスを受けて便利である等が明らかになった。
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Research Products
(5 results)