2006 Fiscal Year Annual Research Report
表出言語と知能に障害をもつ病児の電子合成音声による認知開発と社会参加への看護支援
Project/Area Number |
17592260
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
大脇 万起子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教授 (00280008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
法橋 尚宏 神戸大学, 医学部, 教授 (60251229)
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Keywords | 障害児看護 / 家族看護 / 知的障害 / 表出言語の障害 / 電子合成音声 / 認知能力の開発 / オーサリングソフトウェア / 社会参加 |
Research Abstract |
本年度は初年度に開発したソフトを用い、実践検討を行った。パソコンは既存で最軽量990gのFUJITSU FMV-P8210(Windows (R) XP Tablet PC Edition)を用いた。対象児は、保育園1園、療育教室1園の協力を得て、表出言語障害のある知的発達障害児を募集した。実施にあたっての倫理的配慮では、施設としての倫理的配慮も検討され、両施設とも実質機材を利用する担当保育士を保護者代理とすることを条件としたため、研究者は施設長ほか直接関係職員に研究目的と実施内容を説明して了承を得て、保護者への説明は施設関係者が行った。保育園に関しては保護者との面接を許可され、直接説明も行った。書面契約については両施設とも、保護者との契約は実践する施設が行い、研究者との契約は施設長と取り交わした。 保育園の対象児は自閉性障害のCA4歳の女児1名が使用し、自由保育場面で使用した。結果、VTR記録でソフトを媒体として、他児との交流ができるようになった様子が確認でき、子どもが社会への参加が促進された。 療育教室の対象児は先天性コルネリア症候群でMA1歳9ケ月のCA6歳の男児、自閉性障害でMA2歳8ケ月のCA5歳の男児、原因不明でMA2歳6ケ月のCA4歳の男児、MAの検査が不可能なCA4歳の男児、の計4名であうた。4名は来訪時、おやつの時間、遊具の選択、帰宅時に使用した。結果、来訪時と帰宅時の挨拶で、対人面での効果が認められたが、他の場面では機材がタイミングよく作動せず、活用が困難だったことや、音量が最大にしても静かなところでないと聞き取りにくいなど、機材の能力的な限界が指摘され、家庭では使用が困難だろうとの見解が示された。 しかし、両施設とも、このソフトが既存の物より、重度の障害児には使用できる可能性が高いとの評価を示し、使用方法の工夫と対象とする児を検討して、次年度も使用を続行したいと要望しており、次年度も両施設での実践検討を予定している。
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