2007 Fiscal Year Annual Research Report
心臓手術後の水分制限に対する学童のストラテジーの構造とケアモデルの開発
Project/Area Number |
17592268
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
松尾 ひとみ University of Shizuoka,Shizuoka College, 教授 (20305668)
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Keywords | 先天性心疾患 / 水分制限 / 小児看護 / 小児循環器 |
Research Abstract |
本研究は、水分制限の緩やかな施設において、先天性心疾患の術後に水分制限をうけるこどもが、どのように水分制限に取り組んでいるのかを明らかにし、ケアモデルを作成する目的で、グランデッドセオリーを用いて行った。 国内で小児循環器疾患の手術数が首位にあり、水分制限が緩やかな専門病院において、先天性心疾患で開心術後に水分制限を受けた6歳〜15歳児(平均年齢9歳)12名を対象に、インタビューと参加観察を用いてデータ収集した。 その結果、『水分制限が緩やかな施設における先天性心疾患術後のこどもの水分制限との取り組みの構造』が明確になった。この構造は、2つの次元(「飲みたい-飲みたくない」、「飲める-飲めない」)に沿って、6つのコアカテゴリーが点在する構造と、それらを統合した[ちょうどいい飲水量の感覚]のコアカテゴリーが浮上する構造であった。 ストリーラインは、こどもは術後痛みが緩和すると、[飲みたい時・飲みたくない時がある]と口渇は常時ないと把握し、食事開始時に、医療者から水分制限の説明をうけ、[測らないと飲めない]と未習得の算数の複雑さや、初めての飲水方法に困惑していた。日々の飲水制限を守るための悪戦苦闘から、こどもは[大切に飲む]という口渇をコントロールする戦略を開発していた。同時に、[病院だと喉が渇かない]と、口渇の発生と環境温や活動量の関与を冷静に分析できるまでに至っていた。 しかし、水分制限が緩和する段階毎に、こどもは医療者と保護者に「(胸腔内に)お水が溜まるから飲んじゃダメよって言われた」と[飲むと悪いことが起こる]というメッセージを何度も受け、[飲みたいけどガマンする]と恐れ、制限された飲水量より少な目に飲水量を自粛していた。 こどもは、このような水分制限のある生活を約2週間体験すると、[ちょうどいい飲水量の感覚]が芽生え、身体に必要な飲水量の目安を感覚的に掴んでいた。
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