2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙茶室2-微小重力空間における"柔"環境デザイン-
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17600010
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
尾登 誠一 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (60152550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 和俊 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (10015290)
佐藤 道信 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (30154074)
宮永 美知代 東京芸術大学, 美術学部, 助手 (70200194)
吉富 進 宇宙航空研究開発機構, 宇宙基幹システム本部, 宇宙環境利用センター長 (40358742)
清水 順一郎 宇宙航空研究開発機構, 宇宙基幹システム本部, 宇宙環境利用センター参事 (30392872)
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Keywords | ISS / 微小重力 / 環境 / 茶室 / 生態学 / 接触 / サーフェイス / 芸術諸学 |
Research Abstract |
本年度は、17年度に進めた、μGにおける"柔"環境のための柔素材によるサーフェイスとテクスチュア、及び、静態姿勢のありように照準したアイデア展開とラフモデル検対案に総合的な評価を加え、本研究の目的である宇宙茶室の具体モデル制作を行なった。モデルは、そのテーマ性から、微小重力空間における"柔"環境デザインの3次元仕様を条件とするため、透明アクリルによる1/10の空間一装置コンセプトモデルとした。その概要は、本研究が分析軸とした5つの視点を考慮しながら、次のデザイン要素を包含するものとなっている。 1.物理的空間条件としてある、直径4m×10mのシリンダー空間の狭陰さを解消するため5角形断面を有する。 2.長期居住のためのISS(国際宇宙ステーション)日本モジュールを、住スペースと移動スペース(通路)の2つに分離し、浮遊姿勢における動線のスムーズさを確保した。尚、通路部分には、プライベート対応の庭が附設されている。 3.モデルは8名使用の居住環境として想定し、居住スペースの空間的ディメンションは、ほぼ2畳小間の茶室と同等の容積率を実現させるデザインとなっている。 4.それぞれのプライベート空間は、宇宙空間での居住環境に対応すべく、余暇-睡眠-情報交換というライフサイクルに連動する装置化もデザインしている。 5.8室の居住スペースは、より効率的で柔軟な空間確保を意図し、フレキシブルな仕切りにより開閉できる可変性を有する 6.浮遊姿勢から生じる上下左右の不定は、μGにおける平衡感覚を曖昧にさせるが、生物生態学的アプローチからヒントを得て、光の方向性による定位感覚誘発の空間デザインを試みている。 7.居住モジュールは、最小限の機能としてキッチン、シャワー、トイレの3つのパブリックキャビンが附設される。 8.日本のモジュールに付く補給庫は、使用していない状況下で、居住者に開放された純機能としての宇宙茶室(離れ)として活用される。 尚、地球上の茶室の本来の意味や機能を再検証し、汎人間的な視点から、身体観、及び宇宙観の文化的背景を検討しつつ、宇宙文化のありようを問う考察が加えられる。
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