2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市アメニティの創出と環境負荷低減のための都市政策に関する研究
Project/Area Number |
17601003
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
青山 吉隆 広島工業大学, 環境学部, 教授 (80035633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 大 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30180251)
松中 亮治 岡山大学, 環境学研究科, 助教授 (70303849)
柄谷 友香 名城大学, 都市情報学部, 助教授 (80335223)
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Keywords | 都市アメニティ / 都市政策 / 資産価値 / 京町家 / 社会的相互作用 / 地域互助 |
Research Abstract |
1.都市アメニティ要素の計量化 京都市を対象として,歴史的・文化的なアメニティ要素を提供する京町家に焦点を据え,京町家や中高層建築物が近隣空間に与える影響,及びその空間的範囲の測定を行った.その結果,(1)京町家が面として集積するによる近隣外部効果の存在が土地の資産価値を高める傾向にあること,(2)京町家の影響範囲は隣接する町丁目やその町丁目にさらに隣接する町丁目程度であったが,中高層建築物はより広範囲な学区レベルに相当すること,(3)京都市都心部における中高層建築物の集積が土地資産価値を低める傾向にあり,各町丁目の京町家と中高層建築物の混在割合の違いが,地価にプラスにもマイナスにも影響する可能性があることを明らかにした.これによって,京町家と中高層建築物群との間のトレードオフが存在し,京町家の保全について従来から指摘されている面的保全の必要性を改めて裏付けた. 2.都市アメニティ要素の維持可能性に関する評価 アメニティ要素として高い価値を有する京町家を対象に,その継続的な維持の基盤である地域互助によるまちなみの保全可能性について,相互信頼関係の程度を考慮して評価した.その結果,京町家まちなみ保全活動に対して,(1)他者の協力率が高いほど,地域住民の協力する選択確率が高くなる同調効果が存在すること,(2)対象とする19の元学区のうち16の元学区では潜在的な保全可能性を担保していたこと,(3)確保していない3つの元学区について,従来の歴史的環境保全研究において十分扱われてこなかった社会的相互作用の視点から,保全可能性を確保するための方策案を各元学区の特性に応じて提示した.地縁的な生活共同体である町や町組による保全体制が崩れ,京町家やまちなみの保全機能が衰えている昨今において,保全可能性の確保はその解決を比較的容易にする協力的な地域社会の再形成に大きく貢献するものである.
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Research Products
(2 results)