2005 Fiscal Year Annual Research Report
好アルカリ性細菌のNa^+チャネル欠損によって生じる走化性異常の分子機構の解明
Project/Area Number |
17613004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊藤 政博 東洋大学, 生命科学部, 助教授 (80297738)
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Keywords | 好アルカリ性細菌 / 極限環境微生物 / ナトリウムチャネル / 走化性 / Bacillus pseudofirmus |
Research Abstract |
2004年に好アルカリ性細菌Bacillus pseudofirmus OF4株(以下OF4株と省略)の膜電位開閉型NaチャネルNa_vBPがクローニングされ、その欠損株の構築、生理的機能が調べられた。その結果、Na_vBP欠損株は高アルカリ性環境での細胞内pH調節能が低下すること以外にタンブリングの頻度が上昇し、誘引物質や忌避物質に対して野生株と反対の反応を示すことが明らかになった。しかし、この走化性異常の原因は解明されていない。そこで、本研究では、この走化性異常の分子機構を解明することを目的とした。 まず、Na_vBPが走化性に関与する蛋白質のどれかと相互作用することが考えられた。メチル基受容走化性蛋白質(MCPs)は、枯草菌などの多く桿菌において細胞の極に局在しており、走化性レセプターとして働く。MCPからのシグナルはいくつかの走化性シグナル伝達蛋白質を経て、べん毛モーターに伝わり、運動を制御する。これらのうちMCPが細胞の極においてNa_vBPと相互作用するのではないかと考えた。そこでNa_vBP抗体と枯草菌のMcpB抗体を用いて免疫蛍光染色を行い、蛍光顕微鏡観察によりNa_vBPとMcpBの細胞内局在を調べた。その結果、野生株では、Na_vBPとMcpBが細胞の極で共局在していることがわかった。また、Na_vBP欠損株では、McpBの発現量はほぼ変わらないものの、その局在性は低下していた。これらの結果より、Na_vBP欠損株の走化性異常にMcpBの脱局在化が寄与している可能性が示唆された。また、大腸菌ではcheA、cheWを欠損させるとMCPの極への局在性が低下することが知られていたので、OF4株のcheAW破壊株を構築し、Na_vBPとMcpBの細胞内局在を調べた。その結果、cheAW破壊株ではNa_vBPとMcpBの両方の局在性が低下していた。以上の結果から、Na_vBPとMcpBは極へ局在性において相互に依存していると考えられた。
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