2007 Fiscal Year Annual Research Report
好アルカリ性細菌のNa^+チャネル欠損によって生じる走化性異常の分子機構の解明
Project/Area Number |
17613004
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊藤 政博 Toyo University, 生命科学部, 准教授 (80297738)
|
Keywords | 好アルカリ性細菌 / 走化性 / Naチャネル / Bacillus pseudofirmus / 極限環境微生物 |
Research Abstract |
2004年に好アルカリ性細菌Bacillus pseudofirmusOF4株(以下OF4株と省略)の膜電位開閉型NaチャネルNa_vBPがクローニングされ、その欠損株の構築、生理的機能が調べられた。その結果、Na_vBP欠損株は高アルカリ性環境での細胞内pH調節能が低下すること以外にタンブリングの頻度が上昇し、誘引物質や忌避物質に対して野生株と反対の反応を示すことが明らかになった。しかし、この走化性異常の原因は解明されていない。 2007年度は、好アルカリ性細菌B.pseudofirmusOF4株において電位駆動型NaチャネルNa_vBPと推定上の走化性レセプターMcpXの関係について明らかにしたことをまとめると以下のようになる。推定上の走化性レセプターであるMcpXが細胞の極において局在することを明らかにした。これは大腸菌や枯草菌の場合と同様であった。McpXのクラスターは細胞の極だけではなく側面にも見られた。MCPはSec機構によってまず側面に挿入され、分裂を経て極へと局在すると考えられており、側面に見られたクラスターはこれに由来するものであると考えられた。また、Na_vBPも細胞の極において局在することが明らかにした。Na_vBPの極での局在は免疫抗体顕微鏡観察(IFM)およびNa_vBP-CFPを発現させた細胞の蛍光顕微鏡観察の両方で観察できた。Na_vBP-CFPを発現させるとNa_vBP欠損株の走化性異常が相補されたことから、Na_vBP-CFPはNa_vBPとして機能していることが推察された。McpXとNa_vBPが高い割合で極において共局在することも明らかにした。以上のことより、McpX(またはMcpXを含む走化性レセプター複合体)とNa_vBPはなんらかの相互作用をしている可能性が示唆された。
|