| Research Abstract |
本年度は,以下の研究成果を得た.
(1)指数関数の特徴付けのなかでも最も知られている線形微分方程式を非線形化した非線形微分方程式の解から一意にTsallisエントロピーが導かれることを示した.
(2)上記の導出の過程のなかで,(「指数法則を満たすようにq-積が導入され,そのq-積を用いて,q-スターリングの公式・q-多項係数の定式化が得られた.
(3)q-多項係数とTsallisエントロピーの間には,q-スターリングの公式を用いて,1対1の関係が得られるが,この関係式には,Tsallis統計に頻出するq←→2-qの加法的双対性が自然に現れる.この関係式をさらに一般化して,q-多項係数を拡張することにより,上記の双対性以外に頻出する,もう一つの乗法的双対性q←→1/qを得ることができた.さらに,この一般化により,従来,物理的な考察から,その存在が指摘されていたq-tripletの関係を数学的に導くことに成功した.
(4)Tsallisエントロピーとq-正規化川竹値の組み合わせにおけるエントロピー最大化原理より,従来まで,self-referentialな解しか知られていなかったが,それを改良し,non selr-referentialな解を導いた.その結果から導かれる温度は,従来,別の方法で導かれていた物理的温度と完全に一致することを示した.
(5)Tsallisエントロピーを下限とする符号本を発見した.これは,Shannonの情報源符号化定理に対応するものであり,この結果により,Tsallisエントロピーの情報論的な意味が明らかになった.
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