2006 Fiscal Year Annual Research Report
マルチエージェント型興奮性膜モデルの構築とダイナミクスシミュレーション
Project/Area Number |
17650085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 泰伸 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50283734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
館野 高 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (00314401)
下川 哲也 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特任助教授 (30335385)
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Keywords | マルチエージェント / ニューロン / オブジェクト指向 / シミュレーション / チャネルタンパク質 / マルチスケール / 活動電位 / 巨大軸索 |
Research Abstract |
本研究の目的は,興奮性細胞膜のチャネル構造とその変化と膜電位動態の関連を,マルチエージェント型膜動態シミュレーションモデルを用いて明らかにすることであった.この目的に対する萌芽研究として,ヤリイカ巨大軸索のモデル化を試行した.これは,チャネルタンパク,イオン,イオン交換ポンプ,脂質二重膜をエージェント(計算機内オブジェクト)としモデル化し,これら多数のエージェントの複合体で膜モデルを構成するための基盤創成となる.この基盤が実現できれば,各エージェントが3次元構造を有し,物理法則に従い自律的に自身の構造や位置を更新する細胞動態シミュレーションが可能になる.最終年度である本年度は,種々のイオンチャネルの構造とその変化の動態をオブジェクトとしてモデル化する作業を効率的に実施できるシステム開発を実施し,それを用いて詳細な形態・構造を取り入れた細胞膜の構造・動態モデルのシミュレーションを実施した.実際にシミュレーションを実施したところ予想以上に膨大な計算時間を要することが明らかになったため,細胞膜全体の動態シミュレーションは今後の課題として残し,シングルチャネル(ポタシウムチャネル)動態のみを考慮した.具体的には,イオンチャネルやイオンの3次元的位置の状態更新を0.1ナノ秒という荒い時間ステップで実施した.ここまでの成果はIEEE-EMBSのannual conferenceで発表した.しかしながら,対象をシングルチャネルに限定した場合でも,活動電位生成の時間スケールである数百ミリ秒のシミュレーションには膨大な計算時間を要する.そこで,動態シミュレーションをPCクラスタを用いた並列計算で実現することを試み,計算の高速化を図った.このように,単一細胞膜の動態シミュレーションの実現に繋がるシミュレーション基盤を構築することができた.
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Research Products
(4 results)