2005 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における伝統手工芸文化の地場産業化とグローバル化に関する研究
Project/Area Number |
17651134
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
小瀬木 えりの 大阪国際大学, 経営情報学部, 助教授 (00309379)
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Keywords | ピーニャ / 織物 / 手工芸品 / 伝統産業 / 商取引 / 市場 |
Research Abstract |
当該研究は平成17年度から18年度にかけての2年間の調査により遂行する計画として当初策定し、その後の修正を経て、平成17年度は10月4日以降約6ヶ月間の計画に基づき実施した。当初計画のように夏休み期間を利用した1ヶ月余りにわたる調査は採用時期の関係で実施できなかったものの、修正計画に示したように、フィリピンにおける国内最大の卸売市場であるディヴィゾリア・マーケットを訪れ、繊維製品を中心とした織物や衣類の集積と流通をめぐる取引の様態を観察し、そこに店舗を構える業者に、聴き取り調査を実施して情報を得ることができた。 当該研究のテーマであるパナイ島のアクラン州を産地とするピーニャ織物の流通をめぐり、産地からディヴィゾリア・マーケットにどのような製造業者もしくはトレーダーによって織り上がりの製品がもたらされるのか、また、製織されたピーニャ布を衣料用に供する目的で刺繍を施す業者と職人達から成るもうひとつの産地、ルソン島のラグーナ州のルンバンへどのような仕組で供給がなされているか、ディヴィゾリアにおける最古の業者の1人からその様態を聴くことができた。 これにより、ディヴィゾリア特有の市場運営システムと商取引を介した商人達の社会関係について一定の知見を得ることができ、ピーニャ生産と流通の全体に及ぼすその影響を考察する手がかりを得た。とりわけ中国系商人が大多数を占めるディヴィゾリアにおいて、ピーニャ産業では主流であるフィリピン人業者達が、商業においてはより長い経験を有し、それゆえ交渉にも長けている中国系業者らを相手に、どう取引を成立させているかの様子が理解でき、製造を司る産地への直接・間接の影響について洞察を深めることができた。平成17年度の調査を通じて得られたこれらの知見を、次年度の研究への取り組みに生かし、最終的にその成果をまとめていきたい。
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