2005 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄女性のエンパワメントと離島・僻地における地域医療の開発に関する研究
Project/Area Number |
17651138
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小川 寿美子 琉球大学, 医学部, 助手 (20244303)
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Keywords | 社会医学 / 看護学 / 医療福祉 / 国際協力 |
Research Abstract |
平成17年度の研究計画は、(1)エンパワーメントの理論の整理、関連文献・資料の検索、(2)個人のエンパワーメントの典型的実践例の収集、であった。 (1)に関しては、洋書の購入、雑誌の複写を通じた資料分析をした。その結果、同概念の解釈が国や機関、個人によってばらつきのあることが判明した。 (2)に関しては、沖縄では戦後沖縄の地域医療の向上に貢献した公衆衛生看護婦とエンパワーメントに焦点を当てた研究をまとめ、図書出版をした。書籍の題名は「変わりゆく世界と21世紀の地域健康づくり」で、研究代表者は第10章「沖縄の公衆衛生看護婦制度-女性のエンパワーメントと沖縄式プライマリヘルスケア活動-を執筆した。結論として、公看制度はアメリカ占領下の沖縄(および一部日本本土)にて開始されたユニークな制度であり、USCAR(米国民政府)の指揮下、当時の沖縄の公衆衛生看護婦たちは、その女性担当官(ケーザー、ワーターワース)による教育を通じ、女性たりとも地域社会に貢献する使命感を持つことの重要性を学んだ。一方、第二次世界大戦後、米国から派遣されたGHQ担当官は、アメリカ本国にて1930年代後半ルーズベルト大統領のもと施行された、僻地に若い人材を派遣して地球開発と失業対策を手掛けたニューディール政策を支持する者が多く派遣されたことが知られている。また、同大統領エレノア夫人の社会貢献活動は、米国の女性解放運動のフロンティアとしても周知されている。そこで、研究仮説.として沖縄の公看のエンパワーメントの原点が1930年代の米国におけるニューディール政策と女性の社会への貢献活動にあるのではないか、とし、その仮説を証明すべく研究に取り組んだ。 その他、比較事例としてのラオス国を調査訪問し、地域保健を含む村落促進活動の盛んなことで有名な「ラオ婦人同盟(Lao Women's Union)」首都ビエンチャンおよびカムワン県を訪れ、中心人物にインタビューした。
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