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2007 Fiscal Year Annual Research Report

西洋中世におけるイメージの複製と権力

Research Project

Project/Area Number 17652013
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

木俣 元一  Nagoya University, 大学院・文学研究科, 教授 (00195348)

Keywords複製 / イメージ / 刻印 / 権力 / 中世 / 印章 / 表象 / 記憶
Research Abstract

リスボンのグルベンキアン美術館所蔵の『ヨハネ黙示録』写本の、子羊が第6の封印を開く場面でキリストが掲げ持つ印章がそなえる意味について考察を進めた。現代においてと同様に中世においても、視覚のあり方は一様でなく、地域や文化、対象や状況などの条件により多様な視覚のあり方が共存し、競合していた。西洋中世において機能していた多様な「視」のあり方をとらえるため、西欧の伝統において印章と刻印の比喩がどのように用いられたかを複製と権力という観点から追跡した。この比喩は、古代ギリシア、おそらくはそれ以前から、記憶、認識、表象、イメージ、存在をめぐるさまざまな問題系列と連なる伝統的トポスであった。古代、ビザンティン、初期中世においては、刻印は機械的複製を生産するための特権的手段であった。そこにあっては、人間の手が画材や道具を媒介として描写や似姿を形成するのでなく、イメージは一気に機械的に成立する。母型を素材に押しつけたり、打刻するとある程度の順応性や可塑性を備えた素材は、母型とは凹凸と左右の反転した形象を痕跡として留める。母型自体では陰刻であるゆえにいささか不明瞭であったイメージは浮き出すように可視化され、より判読しやすく触知的感覚をいきいきと呼び起こす様態へと変換される。こうしたイメージ産出手段では、個人による技術的差異が関与する余地はほとんどなく、同一のイメージを限りなく作り出すことが可能となる。西洋中世においては複製を作り出すこと、その技術、個々の複製がイメージの生産や受容に関わる多様な局面で重要な役割を果たした。

  • Research Products

    (2 results)

All 2008 2007

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 印章と刻印:西欧中世におけるイメージの隠喩(上)2008

    • Author(s)
      木俣元一
    • Journal Title

      名古屋大学文学部研究論集 54

      Pages: 45,57

  • [Journal Article] 図像テクストの濃密性と体系性2007

    • Author(s)
      木俣元一
    • Journal Title

      統合テクスト科学の地平

      Pages: 159,218

URL: 

Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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