2006 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者に対する介護者の意識調査及び痴呆性高齢者の言語能力評価と介護への応用
Project/Area Number |
17653055
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松山 郁夫 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (90363415)
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Keywords | 認知症高齢者 / 介護職員 / 認知能力 / コミュニケーション / 特別養護老人ホーム / グループホーム / 表象能力 / 太田ステージ |
Research Abstract |
アンケート調査により、特別養護老人ホームとグループホームの介護職員における、認知症高齢者の認知能力とコミュニケーションでの心がけに関する認識について検討した。独自の質問項目からなる質問紙調査において介護職員393人から有効回答が得られた。因子分析により、認知能力の把握については「生活性」「概念性」「言語性」「運動性」の4因子、コミュニケーションでの心がけについては「具体的対応」「受容的対応」「把握的対応」の3因子が各々抽出された。7因子共グループホームの介護職員の方が肯定的な認識を持っていた。グループホームには定員が少ないこと、認知症高齢者だけを介護していること、生活空間がはっきりしていること、個室であること等の特性が認知能力の把握とコミュニケーションでの心がけに関する認識に違いをもたらしていると考えた。 太田ステージの評価方法であるLDT-R(言語解読能力テスト改訂版)を用いて認知症高齢者の表象能力を段階別に分類し、認知症高齢者の表象能力を評価する意義について検討した。LDT-Rを使用して54人の認知症高齢者の表象能力を評価すると5つのステージすべてに該当者がおり、5つのステージに明確に分かれたため、認知症高齢者の表象能力を評価できることが示唆された。また、ステージが高くなるほどLDT-R得点が高い者が多くなり、各ステージ間のHDS-R(長谷川式認知症スケール)得点の差には有意差が認められた。このため、太田ステージによる評価は認知症高齢者の表象能力を段階別に示していると考えた。表象的思考が困難な認知症高齢者とコミュニケーションをとる際非言語的要素を含めること、表象的思考が可能な場合は言語コミュニケーションに努めることが働きかけの留意点となる。認知症高齢者の表象能力を評価するとによってコミュニケーションにおける留意点を見出すことが可能になると考察した。 上記のアンケート調査に関する論文を作成し、老年社会科学29(1)(2007.4刊行)に掲載予定。
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Research Products
(1 results)