2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17655084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶 弘典 京都大学, 化学研究所, 助教授 (30263148)
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Keywords | 有機EL / 核磁気共鳴 / 解析・評価 / 超精密計測 |
Research Abstract |
現在、有機低分子材料を用いた有機デバイスの研究開発が目覚しく発展しつつある。このデバイスの作製には真空蒸着法が用いられるが、真空蒸着により作製したデバイス上で分子がどのように積層されているのか、また、実際に昇華状態で分子がどのように飛んでいるのか明確になっていない。そのため、作製されたデバイスの特性が蒸着条件に依存するにもかかわらず、現状では経験的に最適条件を探索しているに過ぎない。本研究では、溶液状態における有機物質の同定・解析に広く用いられている核磁気共鳴(NMR)法を昇華状態の物質に応用し、昇華状態での分子の状態を正確に把握することにより、これから益々発展すると期待される有機デバイス作製の高効率化に対する指針を得ることを目指した。今回、次のように試料作製を行った。耐圧ガラス管に試料を入れ、ガスバーナーを用いてガラス管を封じ密封試料管を作製した。また、この試料管が高温高圧下で割れないか、NMRプローブに挿入する前に予備実験を行った。この密封試料管をNMR装置にセットし、加熱することにより試料を昇華させ、NMR測定を試みた。しかし、NMR装置中で試料管を加熱できる部位が約10mmと限られており、試料管全体を加熱できる状態にならなかった。この状態では、昇華した試料が試料管の加熱されていない温度の低い部分に凝縮し、昇華状態を観測することができなかった。現在、試料が熱分解しないように留意しながらガラス管を10mmまで短くすることにより、昇華状態を観測できるよう検討している段階である。
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