2005 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全・安心をめざす糸状菌の菌糸干渉現象を利用したバイオ農薬の創製
Project/Area Number |
17656295
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中崎 清彦 静岡大学, 工学部, 教授 (70180263)
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Keywords | 植物病害 / 生物防除 / 拮抗微生物 / 糸状菌 / 食の安全・安心 |
Research Abstract |
安全・安心な食糧を供給するために、無農薬で農作物を生産することへの要望が高まって、植物病原菌に対する拮抗微生物を利用したバイオ農薬を用いる方法が注目されてきている。従来の方法は、拮抗微生物として細菌を用い、その細菌が病原菌に対する抑制物質を生産するという作用メカニズムを利用していた。本研究では、抑制物質を生産せず、病原性糸状菌の働きを菌糸干渉のメカニズムで抑制する糸状菌GM-21株をバイオ農薬とした植物病害抑制効果について検討した。 まず、GM-21株の抗菌スペクトルについて検討したところ、チンゲンサイ尻腐病、レタスすそ枯病、およびシバ葉腐病の病原菌であるRhizoctonia solaniに対して強い抑制効果があり、メロンつる割病、およびトマト根腐萎凋病を引き起こすFusarium oxysporumに対する抑制効果も持つことが確かめられた。 次に、植物試験をおこなうにあたり、病原菌懸濁液の作製法、および土壌への接種量などを検討し、再現性よく定量的な結果を得ることのできる植物試験をおこなうための手法を検討した。保存にともない低下する病原性の回復のためには、病原菌を滅菌したチンゲンサイに接種して植物体内で前培養することがよいこと、均一な病原菌懸濁液の調整のためにホモジナイザーによる処理が有効であること、および、一旦、種子を発芽させた苗を用いる方法で再現性が高くなることを見出し、新たな植物試験法を開発した。 引き続いて、植物環境試験装置を用いて植物病害防除効果を検討しGM-21株の顕著な効果を確認した。なお、GM-21株を接種した機能性コンポストは、抑制菌が高濃度に存在するだけでは不十分で、基質中の有機物が分解されているかが抑制効果を発揮するのに大きく影響するということを明らかにした。
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