2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム遺伝子を手がかりとした生活史、特に世代交代進化多様性創出機構の解明
Project/Area Number |
17657033
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 知道 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50322631)
日渡 祐二 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助手 (10373193)
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Keywords | Polycomb / MSI / FIE / EMF / CLF / MEA / 生活史 / 進化 |
Research Abstract |
シロイヌナズナでは花発生をEMF2/FIE/CLF/MSI1、配偶体・胚形成をFIS2/FIE/MEA/MSI1、花成をVRN2/FIE/CLF/MSI1、EMF2/FIE/CLF/MSI1が制御していることがわかってきた。これらの遺伝子の進化過程を解明するために、真核生物全体におけるこれらの遺伝子の系統関係を解析した。これまで陸上植物におけるゲノム解析はシロイヌナズナ、イネのみが完了し、陸上植物進化過程における遺伝子進化を推定することが困難であった。本年度、米国Joint Genome Insituteにおいてイヌカタヒバ、ヒメツリガネゴケの8倍ゲノムのショットガン解析が終了し、配列データが公開された。これらのデータとともに、既にゲノム解析が終わっている紅藻Cyanidioschyzon meloraeおよび他の真核生物の配列情報を解析した。その結果、シロイヌナズナMSI1、MSI4のオーソログはヒメツリガネゴケにあるが、MSI2,3のオーソログは存在せず、ヒメツリガネゴケの系統で失われた。シロイヌナズナVRN2、FIS2、EMF2、EMF2-like遺伝子のオーソログは単系統群をなす3遺伝子あることがわかった。シロイヌナズナCLFのオーソログはヒメツリガネゴケ、イヌカタヒバに存在するが、MEA、EZA1のオーソログはこれらの系統で欠失したことがわかった。これらの解析の結果は、発生過程を制御するPolycomb遺伝子の数の変化が複雑な生活史を進化させたとする仮説に合致している。現在、ヒメツリガネゴケPolycomb遺伝子機能解析のために全ての遺伝子の遺伝子破壊体を作出中である。
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