2005 Fiscal Year Annual Research Report
食品フラボノイド類による脳老化の予防に関する各種動物モデル等を用いた萌芽研究
Project/Area Number |
17658060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久恒 辰博 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (10238298)
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Keywords | 海馬 / 記憶 / 成体脳のニューロン新生 / 食品フラボノイド / カテキン / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
「人間の脳の細胞数は、子供のころにピークに達した後に、年をとるとともに衰える一方である」と考えられてきた。ところが、近年、記憶にかかわる海馬においては、どんなに年をとっても新しくニューロンが生み出されていることが発見され、この現象が大いに注目されている。ところが、この新生ニューロン数は加齢とともに激減することも知られており、新生ニューロンを増やす諸条件の検索が望まれていた。本研究では、まず、マウス脳梗塞モデルを用いて、食品フラボノイド類の脳保護作用を確認した。カテキン、およびエピカテキンに脳保護作用があることがわかった。次に、成体マウス(8週令以上)を使用して食品フラボノイド類の海馬回路に対する作用(海馬新生ニューロン数を高める作用)に関する実験を行った。核酸アナログであるBrdUをマウスに投与し、分裂中の神経幹細胞をラベルした。そして、この2週間後ならびに6週間後にマウスより脳を取り出し、新しく生み出されたニューロンの数をダブルブラインド条件下で共焦点顕微鏡解析することにより、計測した。有意差検定の結果、食品フラボノイドとして、カテキンを使用した場合、有意な新生ニューロン増加作用が観察された。一方、強い抗酸化作用が知られているエピガロカテキンガレート(EGCG)には、新生ニューロン数の増加作用は認められなかった。カテキンの作用機構はいまだ不明ではあるが、この研究で得られた結果から、カテキンを多く含む食品成分の摂取により、新生ニューロン数が増加し、海馬回路の機能が高められることが期待された。
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Research Products
(7 results)