2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛙の鳴き声に刺激・誘引され、吸血行動を開始する西表島の森林内に生息する蚊類の研究
Project/Area Number |
17659123
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
當間 孝子 琉球大学, 医学部, 教授 (10145526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 一郎 琉球大学, 名誉教授 (50039921)
比嘉 由紀子 長崎大学, 国際連携研究戦略本部, 助手 (40404561)
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Keywords | 蛙 / 鳴き声 / 蚊 / 琉球列島 / 西表島 / 吸血習性 / 吸血源動物 / 冷血動物 |
Research Abstract |
蚊は人・哺乳動物の血を吸い人畜感染症の病原体を媒介する。蚊雌は動物が排出する二酸化炭素や体温差を感知し、遠方の動物に接近することが知られている。しかし、我々は数種の蚊が炭酸ガスや体温とは関係なく、蛙の鳴き声を識別し、吸血のために宿主動物に向かって飛来・到達しているのでないか!と思われる事実を突き止め、本研究の計画に至った。本研究は西表島森林内で囮動物(特に冷血動物)や動物の鳴き声などに刺激される蚊の吸血行動を究明すると共に蚊体内の血液を分子生物学的な方法で分析し、各種蚊の吸血源動物を特定する。昨年度は西表島で蛙8種の鳴き声をCDに録音、放送するとUr.macfarlaneiが最も多く(89.8%)誘引され、サキシマヌマガエル、ヒメアマガエル、ヤエヤマアオガエル単独でも多数誘引され、本種が鳴き声に誘引され吸血源動物(蛙)に辿り着き、吸血行動を開始することが明らかになった。本年度は西表や沖縄本島で蛙の鳴き声でmacfarlaneiを集め、累代飼育を試みた。吸血蚊や動物血液・組織の保存も行った。また、昨年度に作成した両生・爬虫類検出用のプライマーを用い、吸血源のDNA解析を行った。結果:1.西表・沖縄本島産macfarlaneiの累代飼育:蛙の声を放送してmacfarlaneiを捕獲し、蛙を吸血・産卵させ、累代飼育を試みた。両島産共2世代までは飼育に成功した。雌成虫は卵を塊(30-40個)で産み、孵化後8-10日で成虫になった。2.吸血蚊の採集:macgalanei5、nivipleura4、ohamai2個体の吸血蚊を採集し、吸血源特定のために保存した。3.動物血液・組織の保存:蛙2、トカゲ2、鳥1種を採集、保存した。4.吸血源のDNA解析:開発したプライマーを使用し、これまでに採集・保存した吸血蚊の吸血源動物を分析した結果、macfalanei7個体がサキシマヌマガエル、2個体がヒメアマガエル、1個体がアイフインガーガエル、ohamai3個体がサキシマヌマガエル、1個体がアイフインガーガエル、yaeyamana1個体がヒメアマガエル、1個体がヤエヤマアオガエル、nivipleura4個体がアイフインガーガエル、Cx.h.ryukyuanus1個体がヤエヤマアオガエルを吸血していることが明らかになった。
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