2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎特異的な形質変換規定因子のクローニングと機能解析
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17659257
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
土井 俊夫 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60183498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 秀斉 財団法人生産開発科学研究所, 腎病態解析研究室, 研究員 (60399342)
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Keywords | メサンギウム細胞 / 形質変換 / bHLH型転写因子 / Id2 / smooth muscle αactin |
Research Abstract |
1.糖尿病性腎症や慢性腎炎におけるメサンギウム細胞の形質変換は病変形成における最も重要な問題であり、その誘導因子は同定されていなかったが、degenerate PCR法により、腎メサンギウム細胞での新規basic helix-loop-helix(bHLH)型転写因子Screlaxisをクローニングした。メサンギウム細胞の正常分化との比較により、異常な形質変化の本態が解明されつつある。 2.これまでにメサンギウム細胞にId2が発現していること、同細胞の形質変換の過程において、Smad1が中心的な役割を果たしていることを解明しており、Id2のScleraxisに対する阻害効果の発現が形質変換、ないしは糸球体硬化進行の過程にそって変化することを見いだしている。また、糖尿病条件下でScleraxisの発現はRNAレベルでもタンパク質レベルでも亢進しており、病変形成に寄与している可能性を見いだした。さらに、Id2ノックアウトマウスに糖尿病を惹起し、これら糸球体硬化形成に寄与する因子の発現の変化を組織学的に検討している。 3.腎メサンギウム細胞の形質変換のマーカーであるsmooth muscle α actin(SMA)はそのプロモーターにEボックスを有し、Scleraxisが他のbHLH型転写因子と同様に、E2Aタンパクと二量体を形成し、転写因子として結合することを確認した。結合することで、転写活性が実際に変化し、SMAの発現量に変化をもたらしている。また、糖尿病条件下でchromatin immunoprecipitation (ChIP) assayを用いて、in vivoでScleraxisがE-boxに結合することで、SMAの発現レベルを直接調節してはどうかを検討している。
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