2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性上皮細胞および歯髄細胞を用いた歯質再建のための細胞療法の開発
Project/Area Number |
17659598
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 敬志 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30173800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 圭子 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (20304537)
野間 隆文 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40189428)
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞 / クローン / 分化 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
歯髄の保存は歯のlongevityにとっても重要であり、失われた歯髄の再生は最も注目されている話題のひとつである。我々は歯髄組織のみならず、象牙質やエナメル質の再生も視野に入れた独創的な再生法の研究を行っている。すなわち、歯髄の幹細胞から歯髄細胞、象牙芽細胞、エナメル芽細胞を誘導し、断髄処置などで失われた歯髄だけでなく、歯質(エナメル質、象牙質)をも再建するという新しい発想の治療法の開発を目指している。 今回、まずエナメル質の再建の基礎的研究として、ラット切歯を用いたアメロブラスト細胞株クローンの樹立を試みた。その結果、野生型ラット由来のクローン180種、そしてエナメル質形成不全ラット由来の細胞クローン70種を確立することができた。さらに、これらのクローンを用いてアメロブラストへの分化、誘導法を検討した。その結果、アデニンヌクレオチド誘導体6BAPで処理し、アメロジェニン産生を指標とする、「アメロブラスト分化誘導プロトコール」を確立することができた。 また、歯髄組織における幹細胞を採取することを目標に、ラット歯髄細胞を分離し、FACSを用いてside population(幹細胞)分画の存在を確認した。なお、歯髄組織から分離した細胞株を、βグリセロホスフェイトとアスコルビン酸で石灰化させるプロトコールも確立しており、象牙質再建への足がかりを築いている。また、歯髄や歯質の再建に寄与する重要な細胞基質成分であるsyndecan分子群の分布状況も免疫組織学的に確認している。 今後、歯髄組織から得られた幹細胞を分化誘導し、象牙芽細胞、エナメル芽細胞へと分化させる方法を確立するとともに、アメロブラストおよび歯髄幹細胞を細胞シート化し、これによるエナメル質と象牙質の再建法の確立を目指す。
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