2006 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害時に有効な避難誘導計画における都市機能整備に関する研究
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17681020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋月 有紀 京都大学, 防災研究所, 研究員(科学研究) (00378928)
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Keywords | 避難誘導 / 避難経路 / 公共交通施設 / サイン / 歩行速度 / 等価反射率 / 視力 / 立体角投射率 |
Research Abstract |
火災時には停電や煙による避難経路の視環境悪化が生じ、避難行動に影響を及ぼす。そこで京都大学防災研究所田中哮義教授と共同研究を行い、実大歩行空間(高さ1.77×幅1.77[m]×全長27.78[m])を用いて、火災煙を含む様々な光環境下で視認能力の異なる被験者の歩行速度を測定し、視認性に応じた歩行速度の予測式を構築した(国際学会等への報告は平成19年度に実施予定)。この視認性に基づく歩行速度予測式を用いることで、視力の低い高齢者の避難時間の予測や、停電により急激に照明状態が変化した場合の順応過渡過程時の歩行速度が算定可能になる。さらに歩行速度に対応した避難者心理状態(不安感・歩行し易さ・経路の見やすさ)の予測式も同様に構築した。 関西大学原直也講師および前出田中哮義教授との共同研究において、火災ステージに応じた避難経路の床面照度算定モデルに関する検討を行い、煙層と空気層の境界の等価反射率の取扱いについて、濃度の異なる黒/白濁溶液を用いて測定実験を行った(国際学会等への報告は平成19年度に実施予定)。来年度には煙濃度や室容積を考慮した等価反射率の推定式をモデルへ組込む予定である。 また避難誘導灯や非常口サインなどの避難誘導ツールの実態把握について、前出田中哮義教授・摂南大学岩田三千子教授・同志社女子大学奥田紫乃講師と共同研究を行い、2006年9月末に移転が行われたバンコク新旧国際空港(タイ)を始め、バンコク地下鉄、ニュルンベルグ地下鉄(ドイツ)、ブリュッセル・アントワープ地下鉄(ベルギー)、リヨン地下鉄・シャルルドゴール国際空港(フランス)、京都市営地下鉄といった各国の公共交通施設において、魚眼レンズを用いた視野内の避難経路情報量の分布状況について実態調査を行った。国際比較などの結果公表は平成19年度実施する。 さらに委員として参加する(社)照明学会屋外防災照明調査研究委員会において、東南海・南海地震の被害想定が大きい、高知市・室戸市(高知県)と美波町(徳島県)を対象として、夜間災害時の避難環境の整備に関する行政ヒアリングを行い、現地で太陽電池式街路灯等の防災照明や避難場所マップなどの光量や視認性について実測を行った。
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Research Products
(5 results)