2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球内部の希ガス微細分布及び存在状態の分析手法の開発と地球進化研究への応用
Project/Area Number |
17684029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 拓也 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50294145)
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Keywords | 地球化学 / マントル / 同位体 |
Research Abstract |
本年度は,大阪大学所有の希ガス用質量分析装置の高感度化およびレーザーによる局所加熱分析化を行うために機器の設計および導入に多くの時間を費やした.高感度化の重要な要素である極低温ガス分離装置の性能検査や接続ラインの設計を入念に行った結果,希ガスの実効感度で数倍から10倍程度の向上を達成した.これにより分析に必要な試料重量を従来比10分の1まで減らすことが可能になり,本研究の目的であるマントル物質中の微小領域における希ガス同位体分布を明らかにする分析系の構築について一応の完成を見たと言える.これら分析設備の改良と平行して,ハワイ沖海底火山玄武岩試料,フィンランド産の太古代カーボナタイトや,造山帯かんらん岩などについての分析を行い,その一部を学術論文「Noble gases in the Finero Phlogopite-Peridotites, Western Italian Alp, EARTH AND PLANETARY SCIENCE LETTERS,218,130-145,2005」として発表した.また地球化学分野世界最大の国際会議ゴールドシュッミト会議にて「Tracingmetasomatic agents by noble gas isotopes」という題目の発表を行った.また,本研究課題のもう一つの中心課題であるX線構造解析による希ガス局所分布解明実験のために,天然の金雲母を含む海洋底アナログ物質について高圧下での脱水実験を行った.これは,海洋プレートのマントルへの再注入の際の希ガスの挙動の解明についての示唆を得るためのもので,来年度に希ガス分析および構造解析実験を行う予定である.
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