2006 Fiscal Year Annual Research Report
地盤災害軽減を意識し水理的地域性を考慮して許容揚水量を評価・表現する簡易手法
Project/Area Number |
17686041
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神谷 浩二 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50252119)
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Keywords | 地下水流動 / 帯水層構造 / 揚水量 / 水循環 / 地盤災害 / 地下水流速・流向 / 扇状地 |
Research Abstract |
本研究は,地盤沈下等の地盤災害との関係で設定される地下水位を維持するための空間的な許容揚水量の簡易評価手法を確立することが目的である.2年目の平成18年度は,地下水関連情報の収集・整備を継続して実施するとともに,扇状地を対象に,河川近傍における観測井内(井戸深度25m)の地下水位・水温,流速・流向を観測・調査することによって,河川による地下水涵養機構について検討した.その結果,以下の事項が判明した. a)河川水位の変動に伴って,地下水位は数時間程度の"時間的遅れ"によって速やかに変動することが得られた. b)地下水温度と河川水温の周期性を分析したところ,地下水温度は約2ヶ月遅れるように変動することが得られた.地下水温度の変動には,地表面からの熱伝導による影響していることも考えられたが,特に河川水位が大きく上昇するときは地下水温度が特異的に変化し,河川水が流入することによって温度変化を生じさせているとみられた. c)地下水流速は,透水性の高い砂礫地盤内において0.5〜50m/日程度の範囲で異なることが得られ,卓越した水流が存在することが認められた.また,流速の大きくなる深度では,河川水位の上昇に伴い地下水流速が大きくなる傾向にあった. d)地下水流向は深度方向で南から西向きの範囲で分布した.地下水流速が大きくなるに伴い,卓越した水流に引っ張られるように南西方向に流向が集まるような地下水流動であった. これらの知見は,地下水流動解析において,扇状地の河川境界の扱いに対し指針を与えるものである.最終年度の次年度は,地下水流動解析モデルを構築し,地下水位・流動への揚水量分布による影響度分析を実施する計画である.
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