2006 Fiscal Year Annual Research Report
次世代低温・超高速エピタキシーを可能とするナノクラスター制御メゾプラズマ技術開発
Project/Area Number |
17686062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神原 淳 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (80359661)
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Keywords | エピタキシー / メゾプラズマ / chemical vapor deposition / X線散乱 / ナノクラスター / その場計測 |
Research Abstract |
低圧プラズマプロセスでの水素分圧、ラジカル種制御に端を発するシリコン薄膜堆積高速化のアプローチに対して、中間的圧力下でのメゾプラズマプロセスは成膜前駆体形成に関わる3次元的真空環境をプラズマ/基板問の厚さ1mm程度で数千度の温度勾配を有する特異な2次元境界層に圧縮したものとも考えることができる。従って高粒子密度、流束による高速堆積だけでなく、原料ガス凝縮に伴い形成されるナノクラスターが低圧プロセスと同程度のクヌーセン数の環境場により高品質厚膜を形成する鍵となりうる。本成膜機構理解に基づき、メゾプラズマ条件下でのシリコン薄膜堆積プロセス精緻化により、一定基板温度においては原料シランガス流量に対して比例して堆積速度が増加すること、一定ガス流量条件時には基板温度の低下に対しても成膜速度が減少しないこと、更に何れの条件下においてもホール移動度は300cm^2/V近い値を維持する高品質なエピタキシャル薄膜を実証した。特筆すべきは、通常確認されるシリコン表面の水素結合構造に関わるエピタキシャル停止(ブレイクダウン)する350-450℃を下回る低温度でも〜40nm/secの高速堆積速度を維持しつつホール移動度>250cm^2/Vの電気特性を達成しており、既往のプロセスとは異なる堆積機構に基づく,新たな高速・高品質薄膜堆積技術を確認した点である。 一方,メゾプラズマエピタキシー時のナノクラスター形成過程をその場計測するX線小角散乱計測システムを立ち上げ、プラズマ/基板間の境界層にて形成されるガス凝縮に伴うナノクラスターを計測・定量評価した。その結果,球状かつ3nm径をモードに粒径分布を有するシリコンクラスターの存在がその場計測にて確認され、エピタキシャル薄膜の表面形態及び電気物性との相関から、本クラスターは数nmのホットクラスターであり、これが低温・高速度でのエピタキシーを可能とする相関が明らかになった。 更に、原子状水素の高フラックス化により、エピタキシャル成長温度を300℃以下にまで低下させうる可能性も明らかになった。加えて、サファイア基板上ではメゾプラズマ照射に伴う極めて特徴的な表面形態変化(自発的ナノ規則パターニング)も確認され、ナノクラスターと共にメゾプラズマ自体の様々な応用可能性を秘めた特長が顕わになった。
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