2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17686076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 悦郎 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (70312650)
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Keywords | 臭素系難燃剤 / テトラブロモビスフェノールA / 融解物性 / 熱力学データ / 熱分解 / 臭素化反応 / 重金属 |
Research Abstract |
臭素系難燃剤(TBBPA)の熱分解挙動を熱重量分析装置の排ガス系に質量分析装置(MS)を接続した装置(TG-MS)ならびに示差走査熱量計(DSC)を用いて解析した。その結果、TBBPAは180℃で融解し、260℃で熱分解によるHBrが生成することがわかった。また、実際の臭素系難燃プラスチックには、難燃助剤として酸化アンチモン(Sb_2O_3)が含有されているため、TBBPAとSb_2O_3の混合試料の熱分解ならびにSb_2O_3の臭素化反応を調査した。その他、廃棄物中に含有される重金属酸化物を想定して、TBBPAの熱分解による重金属酸化物・(ZnO,PbO,Cu_2O,Fe_2O_3)の臭素化反応も調査した。続いて、難燃プラスチックの燃焼時に臭素化アンチモン(SbBr_3)が生成することから、そのSbBr_3による重金属酸化物(ZnO,PbO,Cu_2O,Fe_2O_3)の臭素化反応も調査した。特に、ZnOの臭素化反応に関しては、詳細に調査した。各純物質(TBBPA,ZnO,ZnBr_2,Sb_2O_3,SbBr_3)の熱重量測定結果と比較することにより、TBBPAとの反応では、TBBPAは200℃付近から揮発し始め、300℃付近でZnOの臭素化が始まる。生成したZnBr_2は400℃付近で揮発することがわかった。また、TBBPA単独の熱分解では、200℃付近の揮発の際に分解はほとんど見られないが、ZnO等の臭素化される金属酸化物と共存する際はブロモフェノールなどの分解生成物の生成促進が確認された。また、管状の小型炉を用いて、同様のTBBPAの熱分解ならびに熱分解に伴うZnOの臭素化反応実験を行い、熱分解実験後の残渣、揮発回収物、有機・無機ガス生成物を、XRD、EPMA、イオンクロマトグラフ、ICPで分析することにより、さらに詳細に調査を行った。
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