2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞移動先端におけるアクチン細胞骨格制御機構の解明
Project/Area Number |
17687020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末次 志郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (70345031)
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Keywords | IRSp53 / WAVE2 / Arp2 / 3 / 膜 / アクチン重合 |
Research Abstract |
細胞の移動は、多細胞生物に見られる様々な細胞機能の理解に必須である。細胞の移動する先端でアクチン重合が起こり、糸状仮足(フィロボディア)や葉状仮足(ラメリポディア)といった構造を作る。WAVE2を欠損した細胞では顕著に葉状仮足形成が阻害されていたことから、WAVE2は葉状仮足形成に必要不可欠な分子であり、Arp2/3複合体を制御することで方向性を持った細胞運動全てに重要であることがわかっていた。 本年度の研究では、WAVE2は巨大な複合体を形成することでその局在および安定性を制御されていることを見いだした。しかしながら、細胞の膜画分より精製した複合体を形成したWAVE2も活性化ドメインのみの組み替えタンパク質と同じArp2/3複合体の活性化活性を持ち、WAVE2複合体は完全に活性化されうることが示唆された。IRSp53はWAVE2複合体に含まれないタンパク質である。IRSp53がRacおよびPIPS依存的に刺激に応じたWAVE2の活性制御を行いうることを示した。この制御はWAVE2単体だけでなくWAVE2複合体でもみられた。さらにIRSp53のN末部のドメイン(RCBドメイン)がRac依存的に細胞膜を変形することを見いだした。RCBドメインのみを細胞に発現させると、細胞の外側にむかって、ラメリポディアやフィロボディアと同じ方向にのびる細胞膜のみから成るように見える突起形成がみられた。 すなわち、アクチン重合に先立って細胞膜が細胞の外側に向かって変形することが、ラメリポディアやフィロボディア形成などの突起形成に重要であることが示唆された。この膜変形能が本当にラメリポディアやフィロボディア形成に重要であるかどうか今後検討していく。
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