2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性有害事象の発生率、防止可能性に関する臨床疫学的研究
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17689022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 剛 京都大学, 医学研究科, 講師 (30378640)
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Keywords | 薬剤性有害事象 / 薬剤関連エラー / 医原性疾患 / 医療安全 / コホート研究 |
Research Abstract |
本研究は日本における薬剤性有害事象や薬剤関連エラーに関する臨床疫学的データを科学的に収集し、それらの発生率や発生に関連する因子、患者側の認識を解析し、薬剤性有害事象や薬剤関連エラーの防止可能性や効果的な対策を分析するものである。また同時に、薬剤性有害事象や薬剤関連エラーの発生を定量的に予測する予測モデルを作成し、臨床現場や健康政策に還元することも目指している。平成18年度の研究では、倫理委員会で承認された教育病院の一診療科の外来に通院中の患者を対象に10ヶ月間の前向きコホート研究を行った。外来患者における前向きコホート研究では患者の採用及びフォローアップが終了し、現在、独立医師レビューワーによる客観的な判定法を用いた再評価を行っている。この期間に759人の患者が採用され、121人(16%)になんらかの医原性有害事象が141件発生した。これは100患者あたり19件[95%信頼区間16-21]の医原性有害事象が発生していることになった。このうち、薬剤性有害事象が118件(84%)を占めており、外来においては薬剤性有害事象が100患者当たり15.5件発生していることを示唆しており、米国で報告された外来での薬剤性有害事象の発生率100患者当たり27.4件(Gandhi et al. NEJM2003)と比較すると、ほぼ同等であることが示唆された。今後、このデータについて再評価を完成させ、日本における医療の安全に役立てる予定である。
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