2005 Fiscal Year Annual Research Report
P2PネットワークにおけるユーザQoSを考慮した検索手法に関する研究
Project/Area Number |
17700058
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹部 昌弘 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助手 (10379109)
|
Keywords | P2P / 論理網 / ファイル検索・取得 / 到達率 / 物理網特性 / パワー則 |
Research Abstract |
P2Pファイル共有システムではピアは論理網を利用して所望するファイルの検索を行うため,論理網の構造が下位の物理網の負荷及びユーザQoSであるファイルの検索・取得効率に影響を及ぼす.論理網が物理網トポロジを考慮せずに構築された場合には,物理的に遠いピアが隣接関係を持つ可能性があり,その結果,論理網上でのメッセージのやりとりによって物理網に冗長なトラヒックが発生する.また,検索メッセージに対して早く応答メッセージを返信したピアが必ずしも物理的に近いとは限らないため,ピアは,より近く,高速にファイル取得が行えるピアを発見するため,複数の応答メッセージの受信を待たなければならない.さらに,検索速度の向上のためには,検索メッセージが効率的に論理網上で拡散するのがよく,同じピア数に対してより直径の小さい論理網を構築するのが望ましい.そこで,Barabasi-Albert(BA)モデルに基づく高速なファイル検索,取得のための論理網構築手法を提案した.提案手法では,新規参加ピアが物理的に近くかつ論理網上で隣接ピア数の多いピアに接続することで,直径が小さくかつ物理網特性を考慮した論理網を構築することができる.その結果,下位の物理網の負荷を抑えるとともに,ピアはより物理的に近い取得先ピアをより早く発見することができる.さらに,動的に論理リンクを切り替えることにより,論理網の構造を改善し,ピア消失などの障害から回復することができる.現実的な物理網トポロジを用いた計算機シミュレーションにより,BAモデルに比べて最大で約60%程度到達率を向上させるとともに,隣接ピアが物理的にも近く,また,障害回復力を有する論理網を構築できることを示した. 来年度は本年度の提案手法により構築される論理網に基づく,検索手法及びキャッシング手法を険討,提案することにより更なるユーザQoS向上を達成する.
|