2006 Fiscal Year Annual Research Report
P2PネットワークにおけるユーザQoSを考慮した検索手法に関する研究
Project/Area Number |
17700058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹部 昌弘 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助手 (10379109)
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Keywords | P2P / ファイル検索・取得 / キャッシング / 進化ゲーム理論 / 検索遅延 / ファイル可用性 |
Research Abstract |
P2Pファイル共有システムでは,ノード同士が論理的なリンクを確立することによって,論理的なネットワークが構築され,その上でノードは自分の必要とするファイルを検索,取得する.複数のノードが同一ファイルをキャッシュし,他のノードに提供することによって,低遅延でファイル可用性の高いファイル共有が期待できる.しかしながら,ファイルのキャッシングには処理負荷,ストレージ資源などのコストが発生する.ファイル共有システムを構成するノードはユーザ端末であり,それぞれが利己的に振る舞うと,十分にファイルがキャッシュされず,特に人気の低いファイルがシステムから消失するなどの問題が発生する可能性がある.適切なキャッシュ状態を保つためにすべてのノードの状態を監視,制御するのは困難であるため,ノードの自律的,利己的な振る舞いによってシステム全体で適切なキャッシングが行えるのが望ましい. 進化ゲーム理論は,生物社会において様々な個体が相互に影響を与え合う環境の下,生物の進化の過程で最適な行動が受け継がれるという考え方を,ゲーム理論を用いて説明しようと試みたものである.近年,進化ゲーム理論により,利己的・非協力的に思われる個人の振る舞いが社会全体としての協力行動の表れにどのような影響を与えるかを解明しようとする研究が行われている.そこで本研究では,進化ゲーム理論を用いることで,ファイル共有システムにおいて,局所的なノードの振る舞いがシステム全体のキャッシング状態に与える影響について検証した.その結果,キャッシングに対するコストと需要のモデルによっては,ノードが利己的に振る舞ったとしてもファイルがシステムから消失することのない,ファイル共有が実現可能であることを示した.さらに,検索遅延の観点からも高いQoSを実現可能であることを示した.
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Research Products
(2 results)