2006 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントベースシミュレーションによる理論とケーススタディの架け橋に関する研究
Project/Area Number |
17700139
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高玉 圭樹 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20345367)
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Keywords | 社会シミュレーション / エージェント / モデリング / バーゲニングゲーム / 強化学習 / 感度分析 |
Research Abstract |
本研究では,社会科学における3つアプローチ(理論的アプローチ,ケーススタディ・アプローチ,社会シミュレーション)の利点と欠点を明らかにし,その関係から社会シミュレーションの可能性と役割の探究を目的とする.その目的遂行のため,本年度は昨年度に構築したシミュレーションモデルを活用し,残りの課題である(i)異なる結果を導く条件分析と(ii)見出された条件からの理論とケーススタディの関連付けを探究する.具体的には,交渉ゲームの1つであるバーゲニングを例題とし,以下の2つに取り組んだ. (i)異なる結果を導く条件分:構築したシミュレーションモデルから共通項(具体的には,強化学習の1つであるQ学習)を抜き出し,そのパラメータ(ランダム度合い)やモデリング要素(行動選択手法)を変更しながら感度分析を行うことによって,理論とケーススタディの異なる結果を導く条件を見出した.この条件はPCクラスタを活用し,1000万回以上のシミュレーション結果から見出している(これらの結果は,MABS'06,M2M'07において発表している). (ii)理論とケーススタディの関連付け:見出された条件(ランダム度合いと行動選択手法の組み合わせ)を変化させ,理論からケーススタディの結果へと変わる(あるいはその逆の)境目を明らかにすることによって,両者の関連付け(接点を見出すこと)に成功した.さらに,この接点を利用して人間の持つ高い能力に近いエージェントの設計方法を考案し,新たな社会シミュレーションの可能性と役割を明確にした(これらの結果は,日本機械学会研究分科会の招待講演として講演するとともに,その重要性を申請者がオーガナイズしたM2M'07という国際会議で議論している).
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