2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経上皮細胞の細胞周期および運動性の制御におけるPax6の役割
Project/Area Number |
17700300
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 将文 東北大学, 大学院医学系研究科, 助手 (20361074)
|
Keywords | 神経上皮細胞 / 脳・神経 / 発生・分化 / 転写因子 / 細胞周期 |
Research Abstract |
神経細胞(ニューロン)を生み出す神経幹細胞として機能する神経上皮細胞は、細胞周期に依存した核運動を行なう極性細胞であるが、神経分化過程において細胞周期や核運動を統合する機構は未だ明らかにされていない。本研究課題では、神経分化に重要な転写因子Pax6に注目し、Pax6変異ラット胚における神経上皮細胞の挙動の解析や細胞周期変化のイメージング解析を行ない、神経上皮細胞の細胞周期および運動性の制御におけるPax6遺伝子の役割を明らかにすることを目的としている。17年度は、ラット胚脊髄神経管のスライス培養とレーザー顕微鏡を用いた細胞の挙動のイメージング法の開発およびPax6変異ホモ胚における細胞調節因子サイクリン遺伝子群の発現様式の解析を行なった。 電気穿孔法により蛍光タンパク質発現プラスミドを神経上皮細胞に導入した脊髄神経管からスライス標本を作製し、メンブラン上にコラーゲンゲルで包埋した後、顕微鏡に設置した小型インキュベーター内で培養した。1-2umの光学切片を倒立走査型レーザー顕微鏡によって、5分間隔で12-24時間タイムラプス画像を取得した。特に、神経上皮突起上で細かいスパイクが短い間隔で伸縮を繰り返す様子を観察し、固定標本では見ることができない、短時間での神経上皮細胞の挙動を明らかにする方法を確立できた。また、G1/S期移行に重要なG1サイクリンmRNAの発現パターンを解析した結果、野生型胚においてサイクリンD1およびD2のmRNAが細胞体の他に、基底膜側の突起末端に集積しており、Pax6変異胚においては、それらのmRNAが基底膜末端に局在せずに、細胞体と基底膜末端の途中に見られた。以上のことから、Pax6は突起内の輸送または基底膜末端にmRNAをアンカリングさせるために必要な因子であり、細胞周期の調節に関与する可能性を見いだした。
|
Research Products
(1 results)