2005 Fiscal Year Annual Research Report
NAD過剰産生マウス(Wlds系統)を利用した神経回路網老化関連タンパク質の探索
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17700327
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Research Institution | Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences |
Principal Investigator |
池上 浩司 株式会社三菱化学生命科学研究所, 研究部門, 特別研究員 (20399687)
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Keywords | 脳・神経 / 老化 / 神経科学 / プロテオーム / 翻訳後修飾 / アセチル化・脱アセチル化 / 神経突起変性 |
Research Abstract |
神経回路網は,老化に伴う異常タンパク質の蓄積,ミエリン鞘の脱落などにより,変性を引き起こす。このような神経回路の老化メカニズムと老化関連遺伝子Sir2との関連が示唆されており,神経回路網老化,神経回路変性時に起こるSir2ターゲットタンパク質の異常アセチル化と神経回路網老化との関係を明らかにすることが研究の目的である。 本年度は,NAD過剰産生突然変異マウス(C57BL/WldS系統)を用い,ターゲットタンパク質の同定を行う予定であったが,輸入問題によるマウス導入の遅れにより,一部研究計画を変更し,研究を行った。ここにその成果を記載する。 アセチル化タンパク質の検出には数種類のアセチル化リジン抗体を用いたが,当初計画で挙げたStressgen社の抗体の使用により最も良好な結果を得た。野生型マウスより単離した上頚神経節を材料に,組織片培養法とインビトロ突起変性モデルを利用することにより,突起変性6時間後にアセチル化修飾が顕著に上昇するタンパク質を複数個見出した。具体的には,分子量90,70,45,40,25kDaの5つのタンパク質が変性過程の神経突起において顕著にアセチル化されていた。このような知見はこれまでに全く報告されておらず,世界初の発見である。 来年度は,これらのタンパク質を同定し,修飾と突起変性との関係,修飾と変性とSIRTファミリーとの関連が明らかになると期待される。
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