2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックラットを用いた骨の力学的リモデリング応答の解析
Project/Area Number |
17700409
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (00309270)
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Keywords | バイオメカニクス / 骨 / リモデリング / トランスジェニックラット / 力学的特性 / 遺伝子改変 / 強度 / 力学的環境 |
Research Abstract |
生体組織が形作られていくメカニズムを解明することは,生命科学の最前線として社会的な注目度も非常に高いものとなっている.一般的には,生体組織の形成や変化では遺伝的要因だけではなく,力学的な条件を含む環境的要因が関与していることが広く認識されている.しかし,2つの要因のバランスや相互作用は明らかにされていないのが現状である.そこで本研究では,生体内で力学的な機能を有する筋骨格系組織の性状が,どの程度の割合で遺伝的要因もしくは力学的環境要因に支配されるのかを明らかにすることを最終目標として,トランスジェニックラットの皮質骨の圧縮試験を行い,遺伝子改変が骨の生体力学的特性に及ぼす影響について検討した. 小型化を呈する表現型を示すトランスジェニックラットを実験動物とした(Transgenic群).このラットでは,成長ホルモン遺伝子の発現を抑制することによって、通常の個体よりも体形を小さくさせることが可能になっている.一方,通常のWisterラットをControl群とした.力学試験には,Transgenic群とControl群のラットより摘出した大腿骨を用いた.これより断面形状が一様である長さ約3mmの円筒試料を,回転鋸刃を用いて切り出した.その後,材料試験機を使用して,円筒試料の骨軸方向に圧縮破壊試験を行った.試料を生理食塩水(37℃)に浸積させた状態で試験を行い,圧縮速度1mm/minで破断まで試料を圧縮した.その結果,Transgenic群とControl群を併せたデータに関して,破断荷重と体重,断面積と体重の間には,有意な正の相関がみられたのに対して,圧縮強度と体重の間には有意な相関はみられなかった.このことから,体重の減少に起因する骨の破断荷重の低下がみられ,この破断荷重の低下は骨の材料特性の変化よりも,骨形状の変化に大きく影響されることが示唆された.
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