2005 Fiscal Year Annual Research Report
情報教育における効果的な学習環境の構築を目的とした認知科学的研究
Project/Area Number |
17700604
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
齋藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (00378233)
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Keywords | 情報教育 / 外化 / 問題解決 / 算数文章題の解決 / インターネット / 情報検索 / 認知プロセス / プロトコル分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,情報教育における効果的な学習環境の構築を目指し,(1)情報教育における「操作手続き」と「その背後にある理論・概念的知識」との乖離を解消するための自己説明活動やリフレクションを取り入れた学習環境の構築と,(2)「考える力」の育成を目的とした,インターネットを用いた情報の収集・分析・調査に関する統合的な情報教育環境の構築・実践を行うことである。 平成17年度は,学習環境を構築するための基礎的なデータの収集を行った。目的(1)については,自己説明活動の1つとして図的な外化が問題解決に与える効果について実験的に検討した。目的(2)については,調べ学習で用いる課題の種類によって情報検索プロセスがどう変化するのかを実験的に検討した。結果の概要を以下にまとめる。 (1)問題解決における図的な説明の効果に関する検討 問題の理解や解決において,図を描くことが解決者にどのような効果を与えるのかを検討するために,算数文章題の解決過程における図的な外化の効果を調べる集団実験を実施した。大学生80名に,5種類の文章題(旅人算・やりとり算・仕事算・つるかめ算・方陣算)をランダムに配布し,自由に解くように指示した。実験の結果,半数以上の被験者が図を描いて問題を解いていた。また,図の内容を質的に分析した結果,正答した被験者が描いた図の特徴として問題文の情報を正確に表した具体図と,数学的な関係性を表す抽象的な図の両方を描いていることが明らかになった。 (2)調べ学習における情報検索プロセスの分析 調べ学習の課題によって情報検索プロセスがどのように異なるのかを検討するために,2種類の検索課題を解決するプロトコル実験を実施した。2種類の課題とは,検索対象が明確に定義されている課題(収束的課題)と,被験者の興味に応じて対象を絞り込む必要がある課題(拡散的課題)である。大学生10名を対象に実験を行った結果,収束的課題ではキーワードや検索結果を深く探索して閲覧するWebページを決めているのに対して,拡散的課題は検索結果をあまり吟味せず,多くのWebページを深く探索していることが明らかになった。また,被験者がどの場面において困難性を感じているのかを検討した結果,プロセスの特徴に応じた困難さを感じていることが明らかになった。以上のことから,課題の種類によって,探索する空間や困難性に違いがあることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)