2005 Fiscal Year Annual Research Report
微生物集積汚泥によるマンガン酸化物ナノ構造体の生産:新しい微量金属回収法の開発
Project/Area Number |
17710065
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
宮田 直幸 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (20285191)
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Keywords | 集積培養 / マンガン酸化物 / マンガン酸化菌 / バーネサイト / 重金属 / 資源回収 |
Research Abstract |
本研究は、マンガン(Mn)酸化菌の集積培養によりMn酸化物ナノ構造体の微生物生産系を確立すること、並びに、Mn酸化物の金属イオンに対する高い吸着能力に着目して、新しい微量金属回収技術を開発することを目的としている。本年度は、生産されるMn酸化物の性状と微量金属イオンに対する吸着能について検討した。 Mn酸化菌集積汚泥は2L容の培養器にて、好気条件下、5mg/L Mn^<2+>と低濃度の栄養源(有機性炭素20mg/L、有機性窒素3mg/L)を添加した培地を約3日に一度交換する回分操作により、開放系で維持された。このとき、添加したMn^<2+>は速やかに汚泥に吸収・酸化され、1〜3日以内に水相濃度は0.1mg/L以下に減少した。生産されたMn酸化物のMn酸化数をヨウ素滴定法とX線吸収スペクトル法(XANES)により求めたところ、培養期間を通して+3.6であることがわかり、4価Mnを主体とすることが明らかになった。またX線結晶回折パターンより、Mn酸化物はバーネサイト型(層状)であることが示唆された。BET比表面積は120m^2/gMnO_2と見積もられ、比較的高い値であった。これらの特徴は、Mn酸化菌の純粋培養で得られる酸化物のものとよく一致していた。 生産されたMn酸化物を用いて鉛イオン(Pb^<2+>)の吸着試験を行ったところ、最大吸着容量はPb/Mn(モル比)=0.35と見積もられ、Pbを高濃度で吸着する能力が認められた。亜鉛(Zn^<2+>)、銅(Cu^<2+>)またはニッケル(Ni^<2+>)とMn^<2+>を同時に添加しながら回分培養を繰り返したところ、0.1mg/L以下のZn・Cu・Ni濃度であれば、Mn酸化物を形成させながら混在する金属イオンを効率よく吸着除去できた。このことから、Mn酸化菌集積培養系を活用して微量金属を回収可能であることが示された。
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