2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17710081
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川畑 史郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (30356852)
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Keywords | 量子コンピュータ / ジョセフソン効果 / 巨視的量子トンネル効果 / 銅酸化物高温超伝導体 / 異方的超伝導体 / メゾスコピック系 / 量子情報 / 固有ジョセフソン接合 |
Research Abstract |
ナノ構造の高温超伝導体ジョセフソン接合における巨視的量子トンネル現象(MQT)および量子コンピュータへの応用に関する理論研究を行った。面内高温超伝導体ジョセフソン接合においては、絶縁障壁/超伝導体界面に多重アンドレーフ反射の効果によってゼロエネルギー状態(ZES)が形成される。有効場の理論およびインスタントン理論を用いてこのような接合の巨視的量子ダイナミクスに関して理論的に解析を行った。その結果、ZESが形成されない接合(d0/d0接合)の場合弱いスーパーオーミック散逸が出現し、MQTはほとんど抑制されないことがわかった。一方、ZESが形成される接合(d0/d_{π/4}接合)においては、オーミック散逸が出現し、MQTが強く抑制されることが明らかとなった。さらに、超伝導体をc軸周りに回転させることによりその強さおよび型(オーム型、非オーム型)を人工的に制御可能であることも示した。単一の物理系で散逸の型を制御できた例はこれまで知られておらず、高温超伝導面内接合は量子摩擦を系統的に研究する上で格好の舞台となることが分かった。さらに、実験グループ(東北大、物材機構)との共同研究も開始し、世界で初めてBi2212固有ジョセフソン接合におけるMQTの観測に成功した。これらの結果をもとに、高温超伝導体ジョセフソン接合を利用した位相量子ビットの理論提案を行った。固有接合や交差ヒゲ結晶接合のようなc軸接合を用いることにより、従来型のBCS超伝導体量子ビットに比べて高フィデリティの読み出しが可能になることを理論的に示した。
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