2006 Fiscal Year Annual Research Report
積層化マイクロ培養デバイスによる電気化学的遺伝子発現アッセイ
Project/Area Number |
17710112
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
珠玖 仁 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (10361164)
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Keywords | マイクロナノデバイス / 生体材料 / マイクロマシン / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究では、3次元微細化工技術とソフトリソグラフィーの融合により、プラスミドアレイ、細胞アレイ、電極アレイを積層した積層型マイクロ培養デバイスを作製し、一連の遺伝子工学操作をオンチップで行うことを試みた。電気化学測定法の利点であるリアルタイム計測と定量性に着目し、遺伝子-タンパク質発現過程を詳細に追跡した。レポーターとしてべ一タ・ガラクトシダーゼ(βGAL)やアルカリホスファターゼ(AP)を用いた。 1、Maltose Binding Protein (MBP)を標的とし、野生型および変異型MBPを発現ベクターを構築し、あらかじめMBPの下流に融合させたβGALの活性を指標として標的タンパク質の可溶性・不溶性を判定するデバイスを開発した。ウェスタンブロッティングによる発現状態との比較から、電流応答とMBPの可溶性発現量がよく対応していることが示された。最終的に電極-培養ウェルー体型デバイスを作製し、発現過程のリアルタイム計測に成功した。 2、酵母Two-hybrid法を利用し、リガンド依存的な核内ホルモン受容体一転写制御因子の相互作用を電気化学的に評価した。17βエストラジオールをリガンドとする酵母Two-hybridシステムにおいて、リガンド濃度依存的にβGAL由来の電流応答増加を確認した。これにより、タンパク質問相互作用の電気化学的評価が微生物チップ上で可能であることが示された。 3、ウェルアレイデバイスのデザインを改良し、各ウェルに単一微生物を捕捉する条件出しを検討した。単一微生物の培養、遺伝子発現、密閉ウェル内への代謝産物の蓄積に伴う蛍光計測などに成功した。昨年度開発したOn-chip遺伝子導入デバイスにおいても、プラスミドDNAおよびホスト大腸菌濃度を最適化することにより、1コロニー/ウェルが実現可能であることが示された。電極-ウェルー体型デバイスでは、細胞活性計測(酵母〜数細胞レベル)および電場制御に基づく細胞マニピュレーション(単一細胞(大腸菌・酵母)の導入・導出)に成功した。 4、動物細胞培養株を用い、3次元培養デバイス上で細胞の極性・非極性を制御し、その培養速度の違いを呼吸活性に基づく電気化学応答として追跡することに成功した。代謝活性のみならずmRNAおよびタンパク質(サイトカイン)レベルでの活性評価にも成功した。
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