2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルキル化ピロール-イミダゾールポリアミドによる細胞内在性遺伝子の特異的発現抑制
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17710185
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 研究員 (70378561)
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Keywords | ジーンサイレンシング / ピロール-イミダゾールポリアミド / 配列特異的DNAアルキル化 / 核酸 / 遺伝子 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
アルキル化ピロール(Py)-イミダゾール(Im)ポリアミドによる、特定遺伝子発現制御を細胞内在性遺伝子レベルで実現するためには、化合物の安定性や大量供給法の確立が不可決となる。従来型のアルキル化Py-Imポリアミドは、酸やアルカリに対して不安定なビニルリンカーと、大量供給が困難である天然物由来のアルキル化部位であったため、アルキル化Py-Imポリアミドのリンカーとアルキル化部位をそれぞれインドールリンカー、CBIへ改良することで、化合物の安定性が向上し、大量供給が容易になった。 今年度は、インドール-CBI型アルキル化Py-Imポリアミドの生物活性を評価した。GFP発現用vectorをヒト細胞へ導入した後、様々な配列を認識するアルキル化Py-Imポリアミドで細胞を処理した結果、GFP遺伝子をコードする領域の鋳型鎖部分をアルキル化できるポリアミドのみが、GFPの発現を特異的に抑制した。この時の細胞は、GFPのmRNAの発現が抑えられていることも、リアルタイムPCRによって明らかとなり、アルキル化Py-Imポリアミドによるジーンサイレンシング効果には、タンパク質をコードする遺伝子領域の鋳型鎖部分を特異的にアルキル化することが重要である事が示唆された。 また、10種類のヒトおよびマウス培養細胞を用いて、アルキル化Py-Imポリアミドとインドール-CBI部分のみの抗癌活性と比較したところ、アルキル化Py-Imポリアミドはインドール-CBI部分のみの場合とは著しく異なる抗癌性を示した。これは、アルキル化Py-Imポリアミドの持つジーンサイレンシング効果の影響も考えられ、現在詳細を検討している。 さらに、インドール-CBI型の開発によって、10塩基対を超える配列を認識できるアルキル化Py-Imポリアミドの合成にも現在成功しており、今後は細胞内在性遺伝子の特異的発現制御を目指す。
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