2005 Fiscal Year Annual Research Report
植民地時代メキシコの土地権利認定書に見る先住民の歴史観と土地問題の分析
Project/Area Number |
17720194
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井上 幸孝 立命館大学, 言語教育センター, 講師 (20399075)
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Keywords | 西洋史 / 民族学 / ラテンアメリカ / メキシコ / 先住民 / 歴史観 / 土地 |
Research Abstract |
研究計画に従い、8〜9月および2〜3月の二度にわたり、各1ヶ月程度、メキシコ公文書館(AGN)での調査を行い、主要な分析対象となる文書のうち約半数(テテルツィンコ、クイシンゴ、カプルワク、スルテペケの4編の文書)の転記を行った。保存状態の良い史料(シカルコ、ミルパアルタ、ショコテペトラルパ、ロスレイェス他)に関しては、マイクロフィルム等の形で持ち帰り、現在、その転記・分析作業を継続中である。 また、上記二度の渡墨時には、その他の公刊資料の収集も積極的に行った。購入可能な書籍は購入し、それ以外のものはメキシコ国立自治大学図書館やメキシコ大学院大学の図書館を利用し、必要とする資料の多くを入手することができた。また、渡墨の機会を利用して3月には社会人類学高等研究所湾岸支部(CIESAS del Golfo)で研究発表も行った。 他方、渡墨時やそれ以外の機会にも現地の研究者との交流を図り、メキシコ植民地時代史全般のみならず、土地権利認定書研究に従事している研究者数名と交流を持つことができた。とりわけメキシコ国立自治大学(UNAM)や社会人類学高等研究所メキシコ本部(CIESAS-Mexico)の研究者とのコンタクトをいかして、次年度はメキシコでも研究発表を行う。 今年度収集した文書館史料およびその他公刊済みの資料は、現在、分析を進めている最中である。公文書館の未刊行史料は、上述のとおり、半分程度を終え、残りの転記・分析を継続している。他方、刊行済みの土地権利認定書(アトラプルコ、アトラウトラ等)も既に入手しており、これらの分析作業は予定の3分の2程度が終了している。 以上のように、当初の研究計画どおり、いずれの作業もすべてが終わっているわけではないので、本年度の成果は形としては残っていない。だが、来年度に学会(口頭発表)や雑誌論文として発表すべく、その成果をまとめる作業は順調に進んでいる。
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