2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代韓国における植民地的遺産の資源化と活魚市場の形成に関する研究
Project/Area Number |
17720223
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中野 泰 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (20323222)
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Keywords | 韓国 / 民俗学 / 漁村 / 活魚市場 / 生活戦略 / 食文化 / 植民地 / 文化資源 |
Research Abstract |
主として、韓国東海岸の束草市の漁村において、夏期には、平成17年7月28日〜8月21日の計25日間、秋期には、平成17年11月21日〜12月6日の計16日間、冬期には、平成17年12月27日〜平成18年1月10日の計15日間、都合56日間のフィールドワークを行った。漁村においては、刺身団地における活魚の売買をめぐる諸慣行を主たる対象とする外、観光客へ対する新たなイベント(初日の出祝祭)も対象として、参与観察を行った。また、各戸を訪問し、聞き取り調査とあわせ、儀礼に参与し、日常食・儀礼食の調査を行った。文献資料としては、主として、植民地時代からの資料、特に、地方新聞を対象に収集した。なお、次年度の調査地の選定のため、西南地方の漁村へ短期間の巡検を行った。以上の調査と資料収集の成果は、現在検討中であるが、その枢要は、以下のようにまとめられる。1.当該漁村における活魚市場は1970年代に始まり、1980年代後半に、近隣地域に先駆けて成立した。2.都市からの観光客へ依拠した市場であるため、シーズン毎の休暇のサイクルに即した経営が行われ、現在に至っている。3.このような生業構造が形成されたため、従来の生活は、非日常時に行われる儀礼が簡素化されるなどの変化を見せている。4.刺身食自体は、植民地時代、漁業者による簡易食の外、家庭食においても既に行われていた。5.刺身食は、日常ではなく、来客時や飲酒時などの非日常的な場に食される傾向がある。また、家の儀礼には供されず、食文化の体系として、特異な位置を占めている。
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Research Products
(1 results)