2006 Fiscal Year Annual Research Report
インド・ゴア社会の大衆演劇「ティアトル」をめぐる実践と共同性の文化人類学的研究
Project/Area Number |
17720229
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
松川 恭子 奈良大学, 社会学部, 講師 (00379223)
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Keywords | インド・ゴア社会 / 大衆劇 / ティアトル / ポピュラー音楽の流通 |
Research Abstract |
本年度はゴア社会の大衆劇「ティアトル(tiatr)」の劇団の興行状況を明らかにするために2回の現地調査を行った(平成18年4月26日〜5月9日、8月6〜18日)。 第一回目の調査では、ティアトル劇団の劇団主宰者2名にインタビューを行った。元々ティアトル公演に関わる劇団主宰者や俳優はアマチュアであり、ティアトル自体が教会の祭の際に村の有志が上演する形式であった。しかし、最近20年間に商業化が進み、年間の全ティアトル劇団の興行売り上げが10クロール(約2.5億円)と言われるほどとなっている実態が明らかになった。また、ティアトル劇団の主宰者たちが現地語コーンクニー語で脚本執筆に使用する文字がローマ字であり、ローマ字コーンクニー語の州公用語化としての認定を目指す動きがあることが実際に確認された。更にティアトルの脚本を元に映画化された作品「パドリPadri」制作の背景とゴアでの興行状況に関する調査を行った。ティアトル挿入歌カンタール(kantar)CDとティアトル劇ヴィデオCDの制作・販売を行うゴア最大のレコード店(現在は主にCD・DVDの販売を行っている)V.P,シナリ(Sinari)の店主にインタビューを行い、店がティアトルのCDとヴィデオCDを制作するようになった経緯(売り上げよりも文化を守ることが大事である)が明らかになった。 第二回目の調査では、ティアトル興行のチケット販売などの劇団主宰者や俳優以外の興行関係者の動きについての調査を行った。普段はアラブ首長国連邦のドバイに拠点を置き、ゴアに戻ったときにチケット販売を請け負う人物にインタビューを行った。その結果、アラブ首長国連邦でのティアトル興行の手配を行う仲介者の役割が重要であることが明らかになった。 国内では、商品流通とイメージの拡大およびキリスト教宣教師の言語政策を専門とする研究者と意見交換を行い、演劇関連図書の収集・レビューを行った。
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Research Products
(1 results)