2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模イベントにおける民俗芸能・祭礼の利用の実態とその影響の調査研究
Project/Area Number |
17720237
|
Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
俵木 悟 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 芸能部, 研究員 (30356274)
|
Keywords | 民俗学 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本年度は、調査対象として昭和45年の日本万国博覧会(大阪万博)の「お祭り広場」における催し物、とくに最も主要なイベントとして行われた「日本のまつり」についての調査を実施した。独立行政法人日本万国博覧会記念機構の協力により、公式記録・会場基本計画・常任理事会および各種委員会の議事録、また催し物「日本のまつり」報告やシリーズ全6回の脚本等の資料を収集することができた。また、当時のお祭り広場催し物プロデューサーであった、宝塚歌劇団名誉理事の渡辺武雄氏からの聞き取りを実施した。これにより、このイベントの背景に昭和33年より続く宝塚歌劇団内郷土芸能研究会の活動があることが明らかとなった。同会の活動については今後継続調査を予定している。また、本年度開催された愛・地球博の民俗芸能関連イベントとして、愛・地球大交流祭や、ジャパンウィーク関連イベント、長久手愛知県館の「おまつり広場」のイベント等を調査した。 また、大阪万博「日本のまつり」に参加した民俗芸能への影響の調査として、徳島市の阿波踊りと和歌山県太地町の鯨踊りについての現地調査を実施した。阿波踊りはそれ以前から知名度を得ていたものの、万博の開会式で大規模な踊りを披露するなど、このイベントへの出演によって日本を代表するまつりとして知られることとなった。また、万博のPRを兼ねた公演が最初の海外進出であったことや、出演の前年に徳島県阿波踊り協会が発足するなど、影響の大きさが窺われた。太地の鯨踊りでは、昭和初期より伝承が途絶えていたこの踊りが、宝塚郷土芸能研究会によって発掘され復活したらしいことが明らかになった。現在でも万博出演に際して作曲された「鯨太鼓」とともに演じられており、イベント出演が民俗芸能の復活・活性化に繋がった例として大いに興味深いものであった。
|