2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730047
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
本庄 武 一橋大学, 大学院・法学研究科, 講師 (60345444)
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Keywords | 裁判員制度 / 量刑 / 手続二分 / 適正手続 / 予断排除 / 判決前調査 / 意見陳述 / 被害者 |
Research Abstract |
17年度は、アメリカ合衆国における陪審が参加する量刑手続のあり方について文献及び判例の収集を中心に研究を進めた。この作業を通じて合衆国においては、本来的に職権主義になじむ判決前調査制度について、判例上当事者の開示請求権、調査者への質問権が保障されており、量刑手続において十分な資料を持ち込むことと、被告人による吟味を経ることにより当該資料の信用性を向上させるとともに、量刑に対する被告人の納得を向上させることを両立しようとしていることが明らかになった。また量刑手続の問題は訴訟構造という基本的問題にも射程の及ぶ大きな問題であることが確認された。18年度以降、さらに研究を進め、成果の公表を果たしたい。 また日本と同様に、公判手続を事実認定手続と量刑手続に二分していないドイツにおいて、1970年代に運用上公判手続を二分する実験プロジェクトが行われたことに着目し、その実験の結果につき検討した。それによれば、手続を二分した場合でも公判の運営に特に支障は見られなかったとのことであった。日本においてはしばしば有罪・無罪の事実認定と情状事実の認定を明確に切り離すことは困難であるとの評価がなされるが、実施することは不可能ではないことが明らかになった。また手続の二分により、事実認定手続で予断排除の効果が認められる事が明らかになった。以上の成果は論文の形で公表した。 さらに裁判員制度の下で量刑を行うに当たり、重罰化が促進されてしまうことが懸念される犯罪類型として危険運転致死罪を取り上げ、本罪における量刑のあり方について検討した。直接の検討対象は量刑基準のあり方についてであるが、裁判員に対して本罪の罪質をいかに説示するかという点で本研究課題に関係してくる。また本罪においてとりわけクローズアップされやすい被害者の意見陳述制度のあり方についても、検討を加え若干の提言を行った。以上の成果を論文の形で公表した。
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Research Products
(2 results)