2005 Fiscal Year Annual Research Report
昭和25年商法改正前における公開株式会社法理論の展開
Project/Area Number |
17730073
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西川 義晃 徳島大学, 総合科学部, 講師 (00366923)
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Keywords | 昭和25年商法改正前 / 公開会社 / 設立規制 / 発起人の責任 / ベンチャー企業 / 発行市場 / 社債法 |
Research Abstract |
本研究は昭和25年商法改正前(以下、「旧商法下」)における商法学説・判例が、証券市揚を有する株式会社を前提に論じられていたことに着目し、これらを整理・分析することで、現代的な示唆を得ようとするものである。平成17年度においては、特に発起人の責任および発行市場規制に関する文献の収集・整理に努めた。 その結果、第一に、旧商法下において、株式会社は一般大衆から広く資金を調達できる仕組みを備えた企業形態であるとされ、取引所に上場して初めてその機能を十分に発揮できるとする見解もみられた。この結果、株式会社は、将来の公開を目指すベンチャー企業向けの企業形態であると評価されていたことが確認された。また、旧商法下において、会社の新規設立促進に関する議論は、主に株式会社の設立時になされていた。旧商法下においては泡沫会社の濫設が問題視され、基礎が堅実な株式会社の設立を促すことが重要課題であり、明治32年商法の制定過程で最低資本金の立法が主張されていたことも確認された。発起人の責任を株式会社の新規設立促進との関連で論ずる見解もみられた。株式会社の設立時においてその財政基盤が充実していることは現代においても望ましく、株式会社の設立規制および発起人の責任のあり方について重要な視点が得られた。第二に、明治26年制定の取引所法は流通市場規制を担うと位置づけられ、発行市場規制は会社法が担っていたことが確認された。例えば旧商法下における募集は公募を意味し、募集設立および社債法上、目論見書や証券引受業務に関する規定の立法が主張され、発行価格についても論じられるなど、学説・判例上、証券市場と関連付けた議論が目立つ。これらの議論は現代的意義が極めて高いものと認められる。 今後も引続き資料収集およびその分析を行い、平成18年度において少なくとも第一の点につき、成果を公表できるよう研究を進める。
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